「『出会う人すべてを先生と思い』、云々」
力比べのように手を組み合ったケイミーが独り言に反応しやがる。
いや、こんな所でウジウジと脳内反省会をしている俺が悪いな。
「ケイミー」
「な、なに? 揺さぶろうったってそうはいかな――」
「強かったんだな、お前。最初からこんなに強かったのか?」
「え――」
「――胸を借りるぞ。お前達」
ポカンとしたケイミーと正面から組み合ったまま体軸をずらし、左足で――――彼女の右足を後ろから刈り取る。
「きゃっ――――」
遠い昔な気がする授業で習った付け焼刃の柔道技――大外刈りを用い、ケイミーを地面に叩き付けた。
のが間違いだった。
「ぬぐッ――!?」
顔が爆ぜる。
アトロの放った魔弾の砲手を正面から食らい、頭から吹き飛んで地に落下。
大失敗な受け身などを取りながら即座に立ち上がる。
ぼやけた視界には迫ってくる褐色の少女。
已むを得ん――
「魔弾の砲手ッ!!」
「ッ!」
ケイミーが弾けるように後退する。
ありったけの魔力を注ぎ込んだ魔弾の砲手の弾幕。瞬転を使えないルール下では、これを超えてくることは不可能だろう。
そしてこれだけ魔力回路を酷使するのも久しぶりだが、やはり呪いは作用しない。ここまで何もないと反動が怖くもあるが。これによって病状が進行しているかもしれないのだ。
しかしともあれ、これで二人ともが怯んでくれればまだ勝ちの目は――
「魔弾の砲手ォッ!!!」
「!!」
――俺など勝負にならない程の魔力の充実を以て放たれた弾丸が、俺の弾丸を片端から相殺していく。
アトロ・バンテラス。
俺と同じ……グリーンローブ!
「弾は全部撃ち落とす! 決めてこいっ、ケイミー!」
「アイアイサー!!」
ケイミーが駆ける。
爆砕した魔弾の砲手の魔素の残骸が微かに彼女の歩みを光らせ、まだ遠くにいる筈の彼女がやたら近く感じられる。
アトロと俺の魔力量にそう差は無いような気もするが、不確定過ぎる賭けには出られない。
しかし魔弾の砲手の練度に関しては、間違いなく奴の方が上だ。
一発一発に込められた魔力の充実度――実際、弾丸の速力は上回られている――、そして威力。
余程丁寧に魔力を練り込んだに違いない。
それは出力だけを上げた、魔力便りのパワープレイとは似て非なるものだ。
――対応された、か。
今出来ることの、何もかもに。
弾丸を撃ち切り、ケイミーの拳を受け切る。
「――あんたのおかげだよ。アマセ君」
「……は?」




