「nice body.」
「下々の祭りとはいえこんなに賑やかだってのに、一人でフラフラほっつき歩いてたのはどこの誰だったかしらぁ?」
「ですから、それはお訊ねした通り――」
「あ、そっか! もしかしてあんた聞きたいことなんてのはただの言い訳で、本当はわたしにかまって欲しかったんじゃないの?」
「え?」
「そうなんでしょ! わたしと祭りを回ろうってつもりだったんでしょ! なぁにそれあんた、下心丸見えなんですけどぉー!? きゃはは、ういやつういやつ~!!」
「ぬ、むっ……?!」
…………神域の如き感触。
肩で揺れる髪を掴み引っ張られ、顔を深い谷間に押し付けるようにして抱き締められる。
冗談でなく窒息しそうなほどの密度を持った肉。
顔越しでも分かる、清水のような触れ心地の柔肌。
こいつ……こんなものをぶるんぶるん揺らして歩いていやがったのか……!
本当に、王女でなく影武者の娼婦である可能性は無いのか。
低俗な話だが――これだけの身体的スペックを持った者を、出涸らしとしてただ腐らせているだけなんてことが、本当にあるだろうか。
「ちょ……ココウェルっ」
「なぁによ。まさかぁ、起っちゃったの? どうしようもない変態ねッ!」
「く、苦しいんです……!」
「あはっ……! 他ならぬわたしのおっぱいの中で死ねるなら本望なんじゃなぁい? オスとしてはぁっ!」
……加えてこの人との距離を測れない性格というか、好色家というか……事ある毎に色事に絡ませた下品な言葉を投げてくるのはなんなのか。
明らかに、その……そういうことに精通していなければ出来ない台詞回しではないか?
いや、逆に露骨過ぎて怪しくない、という可能性、も――――
「づッッッッッッッッ!!!」
「きゃっ!?」
延髄をかき回されるような不快感が走り、堪らずココウェルを引き剥がす。痛みの呪いの発作だ。
即座に発作を上回るショックを探して目を走らせたが――――幸か不幸か、背に悪寒が奔る程の殺意を感じ、吹き飛ぶように発作は去った。
「っ……、はあっ……!」
「ちょ、ちょっと……何よ、今のも頭痛みたいなもの? だ……大丈夫なワケ?」
「え、ええ……すみませんっ……」
――――ひとつずつ、呼吸を遂げる。次いで、引き剥がしたココウェルから手を離す。
発作がぶり返してくる気配も無い。
殺気の主――忠臣アヤメも、俺が王女から手を離したのを見て殺気を収めたようだ。
……全く。なんて厄介な病気だ。
「……寿命が、近かったりとかするの?」




