「イビツに付き合うヒマは無い」
「さあ? お前はどう思う?」
「訊いてるのは俺――」
「今この時をもってわたしに変わったんだよッッ!! 察しろボケ、クズ!!!」
「ココウェル。言葉が下品過ぎます」
「わたしが使えば上品になんのよ黙ってろ、ウゼェ。……答えろ下郎。お前はわたしがそのシュボウシャだと思うわけ?」
「可能性は高いと思っている」
「ハッキリしなよ男ならさぁ! あんたツイてんのちゃんとォ!?」
「証拠が無い。情報も足りない。だから断言は出来ない」
「とか言いつつちゃっかりわたしのトコ来てんじゃん。それって私をハッキリ疑ってるからでしょ? え何? 証拠も無いのに私への疑いを口にしたの今。お前それ外交だったら戦争なんですけどォ!?」
「五月蠅い」
「は?…………はあ?」
「まどろっこしいのは嫌いだ。いいから事実だけ答えろ」
「…………事実。事実ね」
顔を伏せ、ココウェルが肩を揺らして笑う。
「襲われたんだっけ? プレジアの人が?」
「そうだ」
「詳しく教えてよ。誰がやられたって?」
「…………」
「ムシが良すぎでしょ、情報をタダでもらおうなんて。交換条件なだけでも最大限の王女からの施しなんですけど?」
「………………被害はプレジア関係者だけ。数は十五」
「スカッとしたー!」
「!……!?」
「いやぁスッキリするわねぇ。クソだめプレジアの連中が十何人もやられたっての!? 祭りの最中に? ウケるわぁ」
「…………」
……襲われた正確な数を知らない、か。
演技の可能性もあるが……果たしてこんな暗愚にそんな芸当が出来るだろうか。
「事実だけを話せと言った筈だが」
「話してるでしょ? わたしはあんた達プレジアが痛い目にあって非常にスカッとしてます。で? それだけ大勢がやられておいて、証拠の一つもあがってないっての? どんだけ無能なのよプレジアの兵隊は」
「相手が上手いんだろう。痕跡の一つも残していない」
「そうやって相手になすりつける! プレジアの兵隊も底が知れるわねー。ウチの騎士だったらとっくに解決してるわ」
「憶測や私見はいい。この襲撃について知らないのか。心当たりは無いのかと聞いてるんだ」
「あるような~ないような?」
「ハッキリしろ」
「頭が高いだろ土下座でもしてみろこの病人ッ! 無能!!」
この上なく楽しそうにそう吐くココウェル。
話してくれる気は無いようだ。
厄介だな。
もし万が一こいつが何かを知っていれば、俺はみすみす情報源を手放すことになる。
畜生め。こいつと出会ったのが俺でなければ。
「何よその目ぇ。言いたいことがあるならハッキリ言いなさいよ、せっかくわたしが無礼を不問にしてやってんだからさぁ。ビビッて言えないの? マジであんたタマナシ君なんじゃないの? 無能な上にタマナシなんて救いようが無いんですけど、ぉ……!?」
「――――」
床に両膝を着く。
頭を深々と下げ、両手も床に。
「な――おま、人前でなにやって――」
頭などいくらでも下げよう。
妙なプライドは持ち合わせない。
「頼む。知っていることを教えてくれ」
「…………」




