「方針確認①」
そう言って、クリクターが俺を見る。
自分でやれよ、と思わないではなかったが、状況は医務室に入った頃とはガラリと変わってしまっている。致し方無いだろう。
「……一番の疑問は当然、敵は何者か、ということだ。だが、この場での話でかなり絞り込めた。計画性を持ち、全員がそれなりの実力者で、学内の記録石を盗み見る機会のあった集団。つまり、このプレジア魔法魔術学校内部の集団、或いはプレジアそのものが、容疑者候補の一つとして立ち上がってくる」
「――候補の一つ、か。でも、そうなるわよね」
システィーナが目を細める。
エリダは目をぱちくりさせている。
何人かは気付いているようだ。
「そう、一つだ……もう一つ、敵の正体として考えておかなければならない集団がある」
「……他にもってことは、プレジア外の集団? でも、実技試験の記録石を見ることが出来る集団なんてそうそう――」
「校長は記録石を、後にアルクスとなる者達の力を内外に示す目的で使っていると話した」
「――――!」
「そうだパールゥ。実技試験から二ヶ月が経った今、記録石で撮った映像は既に学外の誰かに見られている、と考えるべきなんだ――そうだな、校長」
「…………はい、」
これまでと打って変わり、悲痛を滲ませた面持ちでこちらを見るクリクター。
自分が疑われることより、こっちを疑われることに痛手を感じていたようだな。
ともあれ――
「映像は、既に公開しています。…………唯一、王国側の人間に」
『!!!!!』
…………今度こそ、エリダとパフィラ、そしてシータが目をひん剥く。
ギリートさえ、声に疲労を滲ませた。
「……まいったねぇ。本当に参った。敵はリシディアそのものかもしれないのか」
……あまり想像したくなかったが。
敵の正体は王国そのもの。その可能性が、とうとう可能性の一つとして目の前に降りてきた。
「…………話がデカすぎない?」
「だが事実だ。敵の正体はプレジア内部の者か王国内で校長の記録石を見ることが出来る立場の者。欲しい情報は敵の素性を割ることが出来るもの、ってことになるな」
「それは俺達が請け負おう。これよりクリクター・オースの身柄を押さえ、事情聴取を行う。他に記録石を確認できた者からも順次事情を訊く」
フェイリーがクリクターを横目に言う。
クリクターも、彼の言を無言で承諾した。
「頼む。……一番は、黒装束の奴らを捕らえて情報を吐かせることだが」
「それは望み薄でしょ。敵強いんでしょ? しかも複数だし。数も完全に把握してないし。後手後手になっちゃう以上、敵を捕まえるのは難しいよ。勘定に入れない方がいいと思う」
「そうだな。それじゃあ次だ。フェイリー」
「呼び捨てかよ……まあ今はいいだろう。なんだ」
「プレジアの門を警備してるのは、毎日必ずアルクスなのか?」
「――!」




