「ゆがんだ駆け引き」
「どうしてだ?」
「……え?」
「どうしてそこまで傷付いていて、未だに俺に迫る? 俺と学祭を回りたいなんて言える?」
「――……」
細めた目から涙を零し、パールゥが俺を睨む。
「――――それでも君と居たい、君を知りたいって思うからっ。これだけの気持ちを投げかけても答えすらくれない君でも、傍に居たいって思うから!」
「――パールゥ、」
「だからこそ、君が欲しい言葉なんてあげない。私を振るための言葉なんて言ってあげないっ。私はケイ君みたいに、都合のいいときに都合のいいように、君を犯して自分の気持ちを伝えるの。君が私を犯したいと思うそのときまで」
強い瞳が俺を射抜く。
眼鏡と前髪の向こう側。
滲む涙がその目に更なる輝きを与える。
この少女は、こんなに強い目をする人だっただろうか。
…………ごめん。
それはそれで都合が良い。
「来ないよ」
「!」
「そんな日は来ない。圭・天瀬がパールゥ・フォンを犯したいと思う日なんて来ない」
「……大丈夫だよ。犯させてみせるから。ケイ君がふとした時に見せる優しさが何よりの可能性だもん」
「――――」
〝君の今までの行動を見て『お人好しじゃない』なんて言う人、いないと思うよ〟
「……いいよ、好きにすればいい。俺も勝手にさせてもらう」
互いに都合のいいときだけ、己の気持ちを満たすためだけに相手を利用する関係。
その先に見据える目的こそ違えど、これで俺とパールゥの関係はひとまず固定した。
だから、改めて言おう。
「俺はお前と学祭を回らない。それ程の借りを作った覚えは無い」
「……人でなし。でも分かったよ。大きな貸しを作ったら学祭、一緒に回ってくれるんだね」
「……好きに解釈するといい」
パールゥは俺が好きだろう。
ということは、俺と恋仲になることを望んでいる筈だ。
見物だな。
ここまで歪になった関係が、どう間違ったら恋人関係になんぞなれるものか。
「――――練習、続けるの?」
「こんな荒んだ気分で役になり切るも糞も無いだろう。ここまでにするよ、付き合ってくれたことには感謝――」
「ここに居たっ!!」
「いたーーーっっ!!!」
駆け込んでくる声。
髪を振り乱しながら飛び込んできたのはエリダとパフィラだった。
パールゥが慌てて目に残った涙を拭う。
「エ――エリダと、パフィラ?」
「どうしたんだ? そんなに慌」
「シータの意識が戻ったのッ!」
「あっというまっ!!」
『!?』




