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「反撃ののろし」



「ど――どうして!」



 アトロがくってかかる。

 「そうですよ!」とケイミーが同調した。

 ギリートが目を細めた。



「……確認させてください。それは、『人命よりプレジアの威光いこうを優先させる』という宣言で合ってます?」

「違います。襲撃者の野望を、今ここでついえさせるためです」

「野望ですか?」

「ええ、野望です。確かに、襲撃者の目的は判然はんぜんとしません。ですが、たった一つだけハッキリしていることがあります。それは……この襲撃が計画的に行われているということです」

「計画的に……」



 アトロがつぶやく。チェニクが言葉をいだ。



「え……で、でも。それは分からないってことになったんじゃ」

「計画的なのは間違いねぇだろが」



 ビージがチェニクの言葉を遮る。



「校長先生の言う通りだ。こんだけやられててほぼ風紀だぞ。目的や標的は分からんが、少なくとも計画的なのは間違いねぇだろ」

「でも……それがなんだっていうんですか校長先生。計画的だろうとそうじゃなかろうと、次の犠牲者が出る可能性があるのは同じ――」

『!』



 ケイミーが言葉を切る。



 それと同時に、幾人いくにんかは気付いたようだ。



「そうです。これが計画的に行われているのであれば……その標的がまだプレジアに存在する限り、また襲撃が起こる。祭りを中止しようがしまいが同じなのですよ」

「で、ですが一般人に危険が……」

「もう少し続きますよ、セイカード。私はさらにこう考えるのです。私たちが祭りの中止を宣言すれば、相手は私たちが襲撃に備えた防御を十全に整えようとしているだろうと予想するでしょう。そうなれば、確かにプレジアでの襲撃は終わるかもしれません。……では、今度はどこで襲撃が終わるのですか?」

「え――――そ、それは」

「はい、分かりません。標的の家かもしれない。人気の少なくなったプレジア内部かもしれない。あるいは――この祭り以外の、人ごみの中かもしれない」

『!!』

「……ここを脱したとして、標的となっている方には平穏は訪れない。それどころか、一般人の犠牲が出ない保障ほしょうもない。襲撃はいずれ必ず起こるのですから。そう考えるからこそ、鎮圧ちんあつは最速であるべきだと考えます。そうでしょう、ケイミー」

「…………!」

「その上、数にも頼ったとはいえ、相手は一夜にしてこれだけの風紀委員を敗北させる手練てだぞろいです。となれば、対応できる者ももちろん限られてくる。どこかにいませんかねぇ、彼らの力に対抗しうる力を持つ者が――――あぁ。なんだ。いるではありませんか、こんな所(・・・・)に」



 クリクターが小さく笑いながら、俺達を見渡す。



 それだけで、十分だった。



「……解っていただけたかな、戦士達(・・・)。これは危機であり、同時に最上さいじょうの機会なのです。奴らの野望をくじき、彼らに計画を提案したあくへとせまるための、ね。それに今回だけかもしれませんが、彼らはそうそう我々を殺す気はないようです。彼らの得物が殺意を帯びる前に叩く。その為にも相手に、あたかも我々が『人命よりプレジアの威光を優先して祭りを続行している』とでも思わせ、一網打尽いちもうだじんを狙うのが――――最善さいぜんではありませんか?」



 沈黙。

 しかし空気は、とうに臨戦りんせん



 学校長は「感謝します。プレジアの若き力よ」、とにっこり笑った。



「彼らを捕らえます、このプレジアで。祭りの中、一人残らず」

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