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「超常の連続」




◆    ◆




 単純に考えるなら。

 いわゆる「強い魔法使い」になるためには、RPGでいう「魔力(MP)」を増やしたり、新しい魔法(じゅもん)を覚えたりすればいい。

 だが、それら習得には様々な段階や要素がある。流石さすがに、経験値を稼いでレベルアップすれば、というようにはいかない。



 まず魔力を増やす作業だが、これは現時点では俺には全くやり方が分からない。トルトの奴は何も教えてくれなかった。別の奴に聞くか、教本から魔力に関する記述を見つける必要がある。――――だが、こうして魔力を出し入れしていて、色々と収穫もあった。

 もちろんそこに、トルトも言っていた俺の限界、そして「魔力切れ」の感覚がある。

 それ以外にも――



「ッ――――」



 こうして魔力を出し入れしていて、俺のどこかがきしむような痛みをあげている。敏感な場所に触れられた時のような、ひどい筋肉痛の痛みのような、そんな感覚。

 今俺がしていることは、魔力を出し入れすること――であれば、俺が今痛みに似た感覚を覚えている体内器官は、きっと魔力回路(ゼーレ)なのだろう。

 魔力回路(ゼーレ)をしっかりと意識できたおかげで、「魔力を使う」という感覚がはっきりと解るようになってきた。

 といっても、別に目新しい感覚でもなかったが。手を握り締めて、血管を潰すように手首を握り、手を開いて離すと血が手に通っていく感覚を得ることが出来るが、魔力の流れる感覚はこれに近いものがある。



 一つずつ、出来ることが増えていく。

 まだまだ情報も鍛錬も不足しているが、ひとまずはこの調子だ。

 この作業を終えたら、次は――



 不意に、ローブのフード部分を後ろから引っ張られた。



「!?」



 ドサリ、と仰向けに倒れる。

 見上げる視界には、テインツ・オーダーガードと――俺を引っ張り倒したらしい、大柄な男が立っていた。どちらも、ランク付けで言うと真ん中の色、ベージュローブを着ている。



『よう。「平民」』



 大柄な男が、ニヤついた笑顔で何かを言ってくる。それが俺にとって快いものでないことは何となく察しがついたが、やはりまだまだ言葉は聞き取れない。

 テインツがやれやれと言った様子で失笑し、大柄に話しかける。



『ビージ。言ったろ、これ(・・)は言葉が解らないんだ』

『ああ、そういえばそうだった。面倒なこったな、いちいち俺達の手をわずらわせる「平民」を相手にするってのはよ』



 俺が体を起こす間に、二人は通訳魔法を使ったようだ。指先を淡い赤色に光らせながら、大柄が口を開いた。



「俺達貴族がわざわざ通訳魔法を使ってまで話しかけてんだ。末代まで恩に着ろよ、『平民』」

「……授業中だぞ。何の用――――」



 何の前触れもなく。



 気道きどうを握り潰す衝撃が、俺の首に走った。

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