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「Interlude―1」

「はぁぁああぁああぁぁああ~~~~~~~。もう、あいつ、もう……もー!!!」

「ど、どうしたのマリスタ。なんだか、随分疲れてるみたいだけど。週明けから」

「そりゃ疲れてますともよ、システィーナさん。この三連休の間、やっと羽伸ばしたり補修にかこつけてシャノリア先生んちのゴチソウ食べられる―とか思ってたのにさ。それなのにさ」

「な、何かあったの……?」

「詳しくは言えないけど! 言えないんだけど! あーもー!!! はぁぁあああ~~っ」

(言えないならその何か聞いてほしそうな態度、やめてくれないかしら……)



 マリスタが机に突っ伏し、もう十数回目を数える()め息を隣席の学友、システィーナ・チェーンリセンダに()らした。

 システィーナは睫毛(まつげ)の長い目を細めて苦笑いする。

 早朝、プレジア魔法魔術学校、SHR(ショートホームルーム)前。

 マリスタは、これからやってくるであろうケイ・アマセ――マリスタの楽しい休日を散々引っ()き回した挙句、魔法も一切使えない状態で義勇兵コースを志願した美形の少年――が、全体どんな自己紹介をするのかと頭を抱えていた。

 マリスタがチラ、と斜向(はすむ)かいの席を見る。そこには、先日さっそく圭と静かな対立を繰り広げた茶髪の少年、テインツ・オーダーガードが、朗らかに友人と談笑(だんしょう)している。――当然、彼の学友も例に()れず、貴族である。

 マリスタは、彼のこれからの毎日と、自分の平穏無事な学生生活の行く末が不安で仕方ないのだ。ついでに、(イケメン)と友好的な関係でいられるかどうかも。

「自殺行為だよ、いきなし義勇兵コースなんて……記憶が混乱でもしてんじゃないのかって話よ。それに、あいつ……」



〝……無言で見つめるな。何か話があるのか〟

〝…………無理して話さなくてもいいだろう。俺のことなら気にするな〟



「分かっちゃいたけど、あいつってきっとコミュ障だわ。初日から孤立(こりつ)して、ぼっち安定コースまっしぐらなタイプだよね。こりゃあ、私が面倒見てやるしかないじゃんかまったく……うふひひ」

(……気持ち悪い……)

「あ! なぁによシスティ、今の可哀想(かわいそう)な人を見る目は!」

「え、ええと。確かに可哀想だなぁと思ったけど」

「否定してよ?!?!」

「その。……もしかして、転校生来るの?」

「え」

「いやだから。転校生」

「なんで」

「なんでって……今言ってたじゃない。あいつが初日からぼっちとか、なんとか」

「言ってた??!! うっそ?!」

「じゅ、十秒前の自分の言葉くらい覚えとこうよ、マリスタ……」



 マリスタとシスティーナの下に近付いてきた、眼鏡をかけた桃色の髪の少女が言う。少女は数冊の重そうな本をドサリと(かたわ)らに置き、マリスタとシスティーナの後ろの席に腰かけた。

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