表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/1260

「マリスタ・アルテアス②」

 言われてようやく、マリスタがハッとした顔をする。今更なのは誰だよ。



 ……って、そうか。よくよく見れば、こいつ。



 言動や振る舞いでその魅力は半減どころか八割減ほどしていると思うが、それを差し引いても、マリスタはそこいらの女子では比較にならないほど整った顔立ちをしている。所謂いわゆる美少女というやつだ。

 きぬのように滑らかなつやを放つ赤い髪、テキトーでありながら時折見せる気品のようなものや無防備な笑顔、細い体からは想像できない大袈裟おおげさなリアクション――つまりギャップ。

 パーソナルスペースにずけずけと踏み入る無神経さや、例えズレていようと他人と積極的に会話をしようとする姿勢も……マリスタ・アルテアスの可憐かれんさの前では、人を惹き付ける要素の一つでしかない、のかもしれない。



 閑話休題かんわきゅうだい



 何が言いたいかというと。こいつらは恐らく俺を見ているのではなく――――俺のような、見たこともない(野郎)と並んで歩くマリスタ(美少女)に興味を引かれているのだろう。



 四大貴族である上に、見る人の視線を釘付けにする美貌びぼうも兼ね備えている。

 大きな学校であれ、注目の的になるのも十分(うなず)けるというやつだ。



「……な、なるほどなるほど。なはは」



 何やら一人で納得し、苦笑いしているマリスタ。こいつもようやく、己の影響力を理解し始めたのかもしれない。マリスタはバツが悪そうに手で頭をかき、



「大変だね、ケイったら。男の子にも好かれるなんてさ。少し分かるわよその気持ち」

「どの気持ちだよ」



 何一つ理解していなかった。



「さてと! これで一通り案内は終わったかなぁ。あとは、外出した時にでも教えたげるよ。一応、近くに町もあるからさ」

「町か……外出も出来るのか」

「許可取ればね。といっても、ここだけで大体の生活はできちゃうから、あんまり出る人多くないんだけどね。登下校以外で」

「だろうな。……今日は助かった」

「お安い御用ですよ~、へへ。んでも、不安じゃないの? そりゃここは充実した設備がある学校だけど、中等部六年生に編入するとあっという間に卒業しなきゃだよ? その後の進路とか、大丈夫なの?」



 進路、という言葉に一瞬、体がぴたりと動きを止める。

 担任に白紙の進路希望用紙を提出したのが、もう大昔のことのように感じられた。

 そして、進路と言えば。



「進路か……進路指導なんかも、学校であるのか?」

「そりゃあるよー。でもさぁ、今まで勉強して友達と楽しくやって、ってだけの毎日だったのに、いきなり将来のことなんて言われても現実味ないんだよね。私、五年生の最後にあった進路相談、『将来就きたい仕事』の欄、空白で出しちゃってさ」

「――――――」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ