「頼むぜ、想定通り」
――まだ魔法障壁は生きている。
「凍の舞踏!」
「ハッ! そんなもん、躱せば何の――――!?」
氷の波動で、周囲の床を凍らせていく。
「テメッ……」
マリスタの時も、ヴィエルナの時も。
「床凍らせて滑らせる作戦」は、意外にも成功率が高い。……言ってて笑えるが。
そして、そんな床を見たお前はこう考えるだろう。
足を着けば転倒の危険がある。ならば――
「舐めんじゃねぇッ!!」
――床そのものを踏み割ればいい、と。
床を破砕する音。
先行放電が付近で閃く気配。
だがその余分な一動作は、
「堅き守人」
詠唱を行う隙としては、十分。
「ぬ、あぁッ……!!」
攻撃を阻まれたロハザーの苛立ちが耳を掠める。
石壁を昇るように上へと弾け跳んだロハザーが再び障壁を足場に空を飛ぶ。間断なく砂弾の砲手を放ち続け、奴の行動範囲を限定していく。
「チ……遠距離からネチネチと……!!」
ロハザーの速度は、既に英雄の鎧下の動体視力で完全に追える程に低下していた。
動けなければ雷速も何もない。
視界の中央にロハザーを捉え、
「遠距離ばかりじゃない」
――氷の床を駆け、飛ぶ。
「んなッ!!? テメなんで滑らな――」
「凍の舞踏――――っ、」
拳に魔力で編んだ氷を纏い。
無防備に移動していたロハザーに、渾身の一撃を叩き込んだ。
「なグ――――ッッ!!」
呻き吹き飛んだロハザーが床を滑り転がり、スペースの壁に激突する。
俺は危なげなく着地し、
「石の蠍」
追撃を「ナメんなっつってんだ――――ッッ!!」じhgy5r6ty8うい0おjg!!!?
――足元を、雷速の衝撃が貫いた。
「6t7y8っは……!!そうか、壁を足場に体当たりを……!」
堪らず足を屈し、四つん這いに倒れる。
振り返ると、――受け身を取り損ねたのか、飛んできた方角とは逆の壁に激突し呻きをあげるロハザーの姿があった。
「ぐぁ……そう思い通りにはならねぇぞ、バカがッ……ッた……!」
「……確かに思い通りではなさそうだな」
「俺じゃねェよオメーのことだよ!!! 馬鹿にしてんのかンの野郎!!」




