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「灯台下暗し、というか」

「……そうか」

「ベッドにどーん!」

「おい」

「で、部屋はもういいの?」



 掛け布団にくるまりながらマリスタ。靴を履いていることを一瞬注意しかけたが……果たして日本式なのか外国式なのか分からず、ひとまず保留にした。

 そんなことより、大切なことがある――



「マリスタ……この学校に、大浴場だいよくじょうはあったりするのか?」

「だ……大、欲情よくじょう?? な、ないわよそんなの!! 何そのいかがわしい響き! 何屋さんよ!!」



 いかがわしいのはお前の頭だ。







 マリスタの言うことには今日は休日らしく、学校内にそれほど人は多くない……休日、ということでついでに暦法れきほうなども確認してみたが、恐ろしいことに太陽暦たいようれきとほぼ同じ――つまり一年は365日で、閏年(うるうどし)がある、ということだ――なようだった。地球のどこかに、リシディアという国があったんじゃなかろうか……と割と本気で思い始めている。



 転移魔法陣てんいまほうじんでの移動を繰り返しながら各施設をめぐりつつ、一応リセル(魔女)の姿も探してみる。記憶の中にある魔女の姿が、今思えば明らかに襲撃された者の格好かっこうだったことも多分たぶんに影響しているが――あの特徴的な薄金色うすきんいろの髪の少女は、差し当たってどこにも見当たらなかった。



 しかし、リシディアに三校しかない魔法学校だと言うだけあり、図書室はそこいらの図書館――といっても、今やそこいら(・・・・)に図書館など存在しない世界だが――よりはるかに多い蔵書量ぞうしょりょうほこり、当面勉強には苦労しなさそうだった。

 食堂も見慣れない食材こそ多いものの、俺のいた学校とそう変わらない雰囲気とシステム。――これなら、明日以降の計画にもそう苦労はなさそうだ。



 「……!!」「……?」「……、……」「?!……っ」



「――――?」



 視線を感じ、振り返る。

 数人で固まっていたローブ姿の男女混合グループと目が合ったが、すぐに逸らされてしまった。

 第二層、生活区画。食堂や図書室、医務室に売店など、プレジアの中で最も人の行き来が多い階層でのことである。

 よくよく辺りを見回してみれば、なんだか随分ずいぶんすれ違う人たちに見られているようだった。



「マリスタ。俺は、何か常識はずれな格好か行動をしてるのか? 妙に視線を感じる」

「い、今更ですか……? はぁ、仕方ないなぁ。今後のためにマリスタさんが教えたげるわ、ケイ君。ケイ君は、通りすがりの人が見惚れちゃうくらい、すんごぉーーく整ったお顔をしてるんです。イケメン指数無量大数(むりょうたいすう)なんです」

「いや、女子に注目されるだけなられてるからそう気にならないんだが」

「馴れてるってナニ?!?!」

「何って、言葉通りだ。俺が言ってるのは、いやに男からの視線も感じるってことだよ」

「え……?」

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