「頑張れがんばれ、頑張ってがんばって、それで」
「一ヶ月でも努力は努力よ。あんたの努力が十年だろうが二十年だろうが、私は私を、そしてあんたをフラットに見るだけ」
「ハッ、だがそのフラットを見つめる目は節穴だな。……努力の量でだけ物事を見て、質のことは少しも考えやがらねぇ」
「質?」
「一ヶ月も時間があったくせに、なんでテメェは自分が苦手とする属性の情報一つ仕入れてなかったんだ? なんで俺相手に水属性で挑むなんてバカ丸出しの行動を恥ずかしげもなくできんだよ。その点だけとってもあんたのドリョクが見当違いなのは明白じゃねーか」
「そっ、それはっ、だから……」
「あんたがちゃんとした相手に教えてもらってたなら、当然そのことについて何か言われてるはずだ。今言葉に詰まってるってことは、そんな指摘すら貰ってねぇってことだな」
「っ……」
「担任はシャノリア先生だったか? 試験で忙しかったとはいえ、声かけりゃ協力してくれない先生でもねぇだろ。――つまりあんたはこの一ヶ月、誰の教えも受けずにガムシャラにガンバってた。そんなとこじゃねぇのか」
「あ、あんた以外にスルドいわね!! なんでそこまで――」
「読めんだよ、テメェみたいな――――頭の足りねぇ奴の考えくらいなッ!!」
「!! ゎゎわっ!?!」
足元を雷が走る。
バチバチと高い音と一緒に弾けた紫の光がヘビみたいに足元をのたくり、突然のことに私はピエロみたいにヒョコヒョコと避けることしか出来ない。
体が大きくグラついた。
「オラ上半身ガラ空きだぞッ!!」
「っ!!あqwせdrftgy!!!!!!ぁ!ぇ!drftぎゅじうgtでswせftgy!!!!!!!」
目が。目が。、目が、弾け、熱いアツい熱いいぶるぶるぶるぶるぶるぶいい熱い!!!!!!
……また地面に倒れた。まばたきが痛い。
ヤバ。電気の直撃くらっちゃったっぽい。うーわ、立つ気力根こそぎ持ってかれてる。
あのチビ電で膝を折られ、下半身が雷の川に落ちた瞬間に、体から脳ミソまで電撃が突き抜けた。筋肉が全部縮こまって、体が中から熱くてたまらなくて……ああなんであのヒョコヒョコしてるときに障壁くらい展開しなかったのか。後悔してもし足りない。
「マリスタ!!!」
……誰か呼んだ? 今。
意識がボヤっとしてる。脇腹らへんが焼けるように痛熱い。これまさか体の内側から火傷してる? うわグロすぎなんですけど。
〝そうそう適性なんて分かんないよねー。なはは、私の適正ってなんなのかしら、って感じ〟
〝家を継ぐってのも全然想像できないし、ていうかしたくないし。商売とか経営とか、聞いても全然分かんないし〟
…………何でこんなことしてんだっけ、私。
「!!!」
――遅刻した時の寝起きみたいに、一気に意識が覚醒した。
やばいやばい。私ってば、何を考えてるのか。頭の中が戦いからどんどん離れていこうとしてる。
立つのよマリスタ。今試合中なのよ。たった十五分しかないのよ。今何分たった? もしかして私、もう負けの判定下されてない?
立つの。とにかく立つのよマリせtふゅいjんvcぜくじょcxrdt!!!!!tfgkヴぃぐ!!!!!!




