「Interlude―76」
「お互い、頑張ろう。勝ち上がれる、ように」
「……もちろん! うふふ、なんか恥ずかしいなぁでも」
「当たるときは、決勝。だね。私達」
「うーわ棄権しよわたし」
「それがいいよ」
「そこは引き止めるとこでしょー!?」
「ふふふ……でも大丈夫。なかなか、起きないよ。ホラ」
ヴィエルナが再度組み合わせを指さす。その先には、マリスタもよく知らない名前と――――ナイセスト・ティアルバーの名が刻まれていた。
「・・・・・・むり」
「…………現実、的じゃ。ないよね」
「ぜっっっったい決勝は棄権するからワタシ!!!!!!」
「さっき、カッコいいこと、言ってた。のに……」
「いやいやいや、これは『引き際』だって。マジで。アルクスの隊長さんも言ってたじゃん、『引き際を見極めて自分の命くらい守れ』ってさ。一ヶ月の努力でホワイトローブに追いつけるなんて、そんなワケないし……ヒェ調子乗ったらホントに殺されそう」
「死の危険、は。どの試合も、一緒」
「だけどティアルバー君はヤバいって! 致死率が振り切れるって!」
「わかった、わかった」
「え? ていうか、アレ? じゃあヴィエルナちゃん、一回戦勝ったら――」
「……うん。ナイセストと、当たるかも」
「だ……ダメだよ! 危ない危ない!」
「まぁ、基本的に。風紀委員、ナイセスト、相手には。棄権だから。暗黙、ルール」
「死んじゃう――え。あ、そうなの?」
「うん」
「な……なぁ~んだもう、ビックリした……脅かさないでよね。うんうん、じゃヴィエルナちゃんは私の準決勝、しっかり見れるってことよね。しっかり見といてよ、私がケイに一発カマしてるとこ!」
「…………うん。ケイとも、あたるといいね」
「ええ。ふんだ、あいつったらホント融通きかないというか、ガンコ者なんだから。準決勝まで勝ち上がってきたら目にもの見せてやるんだから――――あ、そうだったその話だった! げっ、私完全に思い出したんだけど、バディルオン君ってあのおっきい人でしょ!? 大丈夫かなケイったら、ちゃんと勝ち上がってこれるの……?」
「大丈夫だよ。きっと」
「始まってみるまで分かんないじゃん、そんなのさー!」
「〝では監督官は所定の位置についてください! 受験者・及び観覧者は各演習場の観覧席に移動をお願いします!――――試合を始めてください!」
放送委員会の腕章を付けた学生が、魔石による拡声を用い、大演習場全体に告げる。
気付けば、実技試験は幕を開けていた。
「…………始まるね。ケイの、試合」
「……うん。よしっ、早速見に――」
アマセェェエエエェエェァァァアアアアアアアッッ――――!!!!!!!
『!!?』




