表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
229/1260

「Interlude―74」



 グレーローブ、ロハザー・ハイエイトの名前を。



(一回戦で……ロハザー・ハイエイト!!)



 恐れか高揚(こうよう)か、知らず拳を握り締めたマリスタは、周囲にロハザーの姿を(とら)える。ロハザーは一瞬マリスタと目を合わせたが、すぐに目を閉じ、視線を外した。マリスタは笑う。



(――相手にとって不足なし、ね!)



 となると、マリスタが気になるのはケイの場所である。

 一縷(いちる)の希望と不安を乗せて目を動かしたマリスタは、そう苦労せずケイの名を発見する。

 それもそのはず。ケイ・アマセの名は、マリスタの真横の組にあったのである。



(――勝ち上がったら、二回戦でケイと当たる――――!!)

「楽しみ?」

「うひ!?……ってもう! ヴィエルナちゃんまた(おど)かして!」

「ケイ、近いね」

「無視かい!……まいいけどさ。うん、確かに近いよ。あいつと私、お互いに一回勝ったらあたる――あれ、そういえばヴィエルナちゃんはどこ?」

「あそこ」

「んー?……何言ってんのさヴィエルナちゃん。隣のブロックには名前、ないみたいだよ。もー緊張してるのぉ? 私と同じだねーえへへ」

「違うよ。あっち」

「え――」



 ヴィエルナが静かに指差す先を、正確にとらえるマリスタ。

 そこには確かにヴィエルナ・キースの名前があり――果たせるかな。



「わ……私達と同じとこじゃんッ?!?!」



 第二ブロック第四試合。ヴィエルナの名前は、圭の二つ隣の組み合わせに(きざ)まれていたのである。



「えっ、ちょ……こんなに知り合いが集まってることってある!?」

「ないよ」

「ない……よね。普通(ふつう)ね」

「うん。……普通なら、ない」

「え。……まさか」

「そう。この、第二ブロック。の、組み合わせ。は…………操作、されてるんだと。思う」

「…………うっそでしょ。マジでそんなこと出来ちゃうの? あれ、てことは私って」

「完全に、ターゲット」

「うっそ!?!??!」

「ろっくおん」

「オンじゃないよ!?! 迅速にオフして!! うっわ……『もしかしたら』程度に思ってたけど、まさかホントにこうなるなんて。あれっ、ってことはケイの相手は――――」



 (あわ)てて圭の一回戦における対戦相手を確認するマリスタ。先ほどは視界にすら入らなかったその場所には、ビージ・バディルオンの名前が書かれていた。



「バディルオンくん……って、誰だったっけ」

「図書室の、前で。ケイと、ケンカしてた……人」

「んん……? ごめん、あいつケンカしすぎててちょっとどんな人か思い出せない……」

「・・・マリスタも、だいぶ……ケンカ、してたけど」

「え?! む……ムカつく奴?」

「分からない、けど。…………彼と、よく。一緒にいた、よ」



 もうすぐ二ヶ月ほど前の話になるとはいえ、あれだけの言い争い(※第9話参照)をした相手を毛ほども覚えていないマリスタに突っ込みたくて仕方なかったが、ヴィエルナは(つと)めて冷静に――――()の名を口にする。



「テインツ・オーダーガード君と」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ