「Interlude―66」
「やめて」
互いに掴みかかろうとした二人の間に入ったのは、リアだった。
「り――リア?」
「――どうして止めるのリア。どうしてこんなのと一緒に居るの!? あんただって、貴族の連中にあれだけ酷い――」
「友達よ」
「――ぇ?」
困惑する友人の手を握り、リアが彼女を少し見上げる。
「友達なの。この子も、リフィリィ、あなたも。だからどっちにも、これ以上傷付いて欲しくない」
「そんなの――!」
「お願いだから」
「…………っ、」
「ちょっと待ってよ。何勝手に解決した雰囲気にしてるのリア! 突然いわれのない難癖付けられた私の気持ちはどう」
「スカートちらーーーー!!!」
「ふきゃぁっ?!?!」
「はーいはい、今はおさえるんだシータちゃん! もどろう!!!」
「な、なにするのよ離して――――」
突如現れたパフィラにぴらりとスカートをめくられ、羞恥に動転するシータ。パフィラはそんな彼女の手をぐいぐいとひっぱり、手招きするエリダ達の元へと連れていく。
リアの肩越しにそれを見たリフィリィは、安堵と不満の入り混じった顔でリアを見た。
「……怒りがおさまったわけじゃないから。解決なんてしてないから」
「怒っていい。シータも悪かったし、リフィリィも悪いところはあった」
「どうして私が……どうして……」
「解決できないのが、当たり前だと思う」
「え……?」
「この差別は根深い。きっと解決は永遠に出来ない。……だからこそ、ずっと向き合っていかなくちゃいけない、問題だから」
「……お説教なら他所でしてよ。私達はとっくに、そんな段階は通り越してる。そうじゃないの?」
「………………」
答えられず俯くリアに、リフィリィは背を向ける。
「あのアマセ君が壊してくれればいいのにね、ぜーんぶ。風紀委員を潰すとか小さい事じゃなくて、全部全部。何もかもをさ」
声を震わせ、歩き去るリフィリィ。
顔を手で拭い、リアはシータ達の元へと戻った。
「…………謝らないから、私」
「ちょっとシータ。戻って一番の相手にそんなこと言うこたないでしょ」
「みんなだってオカシイって思ってるでしょ!? それとも私が貴族だから、そんな気持ちは分かんないっていうの? 馬鹿みたい、私もう――――」
「解るよっ」
パフィラが背後からシータに抱き着く。シータは再び目を見開いて身を縮めた。
「ぱ、パフィラっ!?」
「私、分かったよ。貴族だし!――ねぇケネディ先生、あれが先生の言ってた『危険』なんだな?」
「……そういうこった。何が危険かって、原因そのものを取り除くことがほぼ不可能だってことだよな。難儀な話さ」
「…………ごめん、みんな」
「システィーナ?」




