「所有属性」
魔女リセルに口付けされた時。あの時、自分の意識が血のように体内を巡ったような感覚があったが――あの時、俺はシャノリアが見せてくれたものと全く同じ光を見たんだ。
「アマセ君?」
「いや――なんでもない」
あれが魔素であり、魔力。――でも、待て。
あのとき、俺の意識が見せた光景が体内の魔力回路だとしたら……俺の体内には、既に魔力が生成されてるってことじゃないのか。
「シャノリア。魔力は、常に一定量、体内に存在するものなのか?」
「ええ。意識せずとも、一定量の魔素は自然と体内に取り込んでるって言ったでしょ? 同じように、人間は魔力も常に一定量、体に保持してるはずなのよ。そう多くないけどね」
「――――MPのように、か」
「えむぴー?」
「いや、気にしないでくれ。こっちの話だ」
まったく、俺の世界のRPGってのは――悉く正解を行ってたんだな。システム的に。
……あれ、まさか製作者に魔法の心得がある奴が居たんじゃあるまいな。
「――続けるわ。あとは、それを体外に放出してみせるだけ。体の中の魔力回路を意識して、魔力を顕したい箇所へ流すようなイメージで――」
シャノリアの掌に、魔力の輝きが宿る。
小刻みに、波打つような振動を繰り返す光。シャノリアが手を握ると、光は音もなくかき消えた。
「……伝わったかな?」
「……やってみる」
「おう、ちょっと待て坊主」
気だるい声に振り返ると、そこにはトルトの姿。
その手には、今シャノリアに渡されたものと比べると、だいぶ小さな硝子玉。
「……それを使えってことか?」
「ザードチップ先生、それって」
「お察しの通り――所有属性玉ですよ」
「……エトス?」
「ああ、そっから説明しねぇとか。ホント面倒くせぇな……お前やっぱ諦めたら?」
「ザードチップ先生。お仕事、しっかりお願いします」
「はいはい……一回しか説明しないからよく聞いとけよ、坊主。所有属性ってのは、そいつが持ってる魔法の属性のことだ」
「…………属性?」
――また、随分とRPGチックな言葉だ。
「……まさか、メラとかバギとか、言うんじゃないだろうな」
「記憶ねぇならちゃんとそれらしく黙ってろ、ったく……属性には、『基本五属性』と『応用五属性』の計十属性が存在する。属性に当てはまらない無属性魔法もまぁ存在するが、所有属性にはないから除外しとく――後は知りたきゃ自分で勉強しな」
「人間は、各々属性に『適性』があるの。どの属性が使いやすいかってことね。それを測るのが、この所有属性玉ってわけね」
先ほどのように、シャノリアが小さな玉に触れる。すると玉の中に、昨日シャノリアの家で見たような水泡が生成された。
「基本五属性は火、水、雷、土、風の五つ。大抵はこの五つの中のどれかに適性があるわ」
「んで、応用五属性は氷、鉄、木、闇、光だ――適性ナシ、なんてことは億が一にも起こらねぇから安心しな」
「……属性間に、相性がありそうだな」




