「シャノリア先生の個人レッスン:まりょくとは」
「……敬語まで忘れてやがるみたいだが、これでも一応プレジアの教師だ。個人的にだが、校長には借りもある。お前さんがもしプレジアに仇なすようなら――――そん時は、俺がお前を跡形もなく消し去ってやる。肝に銘じとけ。欠片も残ると思うな」
「ざ、ザードチップ先生……!?」
おろおろとするシャノリア。顔を引き攣らせ固まったマリスタ。俺は、
〝影に至るまで焼き尽くしてやるからよ――――!〟
……いつかも感じた畏怖だ、と思っただけだった。
トルトから視線を外し、俺は眉間に皺を寄せて指で押さえてみせた。
「……検査なんだろ。言った通り魔力の作り方なんてからきしだ――この場で教えてくれるというなら、ぜひ試してみたい」
「返事くらいしろよ……はぁ、まあいいや。ディノバーツ先生、そいつに魔力の込め方教えといてください。私ゃとってくるモンがあるので」
「え、あ、はい……」
そう言い、ゴキゴキと首を鳴らしながらどこかへ去っていくトルト。
シャノリアはひとつ咳払いをし、仕切り直しだとばかりに俺の前に立った。
「じゃあ、説明していくわよ? 大雑把に言うと――魔力っていうのは、空気中に存在する魔素を体内に取り込んで、術者の精神力と練り合わせることで、作られるエネルギーのことよ」
シャノリアが俺の手から硝子玉を取り、目を閉じる。すると、玉の中に朧気な輝きが生まれた。それは蛍光のように柔らかい光に見えて、どこか目に刺さる太陽光のように激しい。
これが、魔力と呼ばれるものなのか……やはりというか、あまり実感がつかめない。
でも……俺はどこか、この光に見覚えがある。
だが、光なんて生活の中でごまんと見ているから……気のせいだろうか。
「人は体内に誰しも、精神と繋がって魔力を作り出し、体内を巡らせる循環器――魔力回路と呼ばれるものを持っているの」
「循環器……血管とはまた違うのか?」
「ええ。人間の精神力が生み出した、第二の血管――とでも考えてくれればいいわ。この魔力回路に魔素を通すことで、魔力が練り上げられるの」
「だが、その魔素というのが分からない。空気中にあるものなのか?」
「知覚能力を鍛えれば、すぐに感じ取れるようになると思うのだけど……今は大丈夫。この魔法玉に顕すくらいの魔素なら、特に意識しなくても体内に取り込んでいるはず」
「……そうなのか?」
「そうなんですか?」
マリスタが口を挟む。シャノリアは「もう」と困った顔をマリスタに向け、出来の悪い生徒を目でたっぷり咎めたのち――俺に視線を戻した。
「でもそんな風に、理論を知らなくてもいいくらい自然なことなのよ。魔素を取り込む、魔力を生み出すっていうのはね……さて、ここからが実際に、あなたが魔力を作り出す行程なんだけど。どう説明したらいいかしら……そうね。体の中を、自分の意識が巡ってる感じ……かな?」
「! 体の中を……」
――思い出した。




