表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
202/1260

「Interlude―48」

「『学校を悪い意味でかき乱す、顔はいいが浮いてる変な奴』――それが大勢(たいせい)だったケイさんへの認識が、少しずつ良くなっている気がする。どうせそのようなことを言いたいのでしょう、システィーナ」

「さすがはプレジア三位の頭脳。その通りよ」

「さすがはプレジア二位の巨乳。脳の栄養が乳にいっている分考えが()けて見えるようです」

「?!?!」

(い、一位誰なのかな……)

「ま、ケイさんにとっていい方に転がりつつあるのは認めざるを得ませんけれど。こうして目に見える形で実力を示されると、少なくとも表立って彼を悪く言う者たちは鳴りを(ひそ)めますからね。巨大な(クジラ)は誰にも攻撃されないのと同じです――――ま、彼程度の小さな鯨では(サメ)に食われるのがオチですけどねっ☆」

「そうね。確かに、これでアマセ君が変な人たちにからまれなくなるかと言えば、そうとも言えない」

「ハッ。むしろ結果(・・)によりゃあ、今以上に爪弾(つまはじ)き者――いや。それどころか、本当にプレジアからいなくなっちまう可能性だってあるな」

「ど、どういうことよそれっ」



 マリスタがロハザーにめ寄る。

 ロハザーは「分かんねぇのかよ?」と笑い、自身の短いかみの毛をかき上げた。



「今度の実技試験じつぎしけんの結果で、やつの今後も大きく変わるってことさ」

「何言ってんの? たかが試験で、あいつが学校に来れなくなるほど参っちゃうわけが――」

「マジでわかってねぇなアンタは。気分はまだ魔術師まじゅつしコースかよ?――精神的なことを言ってんじゃねぇ。こいつは義勇兵(ぎゆうへい)コースの試験だぞ? つまりあいつが不幸な事故で(・・・・・・)死んだとしても(・・・・・・・)、それは特に問題にはならねぇってことさ。……まさかあんた、そんなことも忘れてやがったワケじゃ()ぇだろうな?」



 ――ロハザーの目が、マリスタをするどくとらえる。

 かすかに怒気さえにじむその目に気圧(けお)され、マリスタがわずかに後ずさった。



「わ、忘れてなんか――――、っ」

「?」



 反射はんしゃ的に何かを言い返そうとしたマリスタが、ゆっくりと口を閉じる。

 言葉をふうじ込めるように飲み込み、今度はしっかりとロハザーを見た。



「――ごめん。私忘れてた」

「……あ?」

「忘れてたよ。実技試験が命がけなこと。だから謝る。ごめん」

「な、何だと?」

「もう忘れないから。私の命がかかってることも、アンタやヴィエルナちゃんが命をかけて(たたか)ってることも。ホントにごめん」



 ごまかしのない、真っ直ぐな言葉が、ロハザーに真正面からぶつかる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ