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「Interlude―45」




◆    ◆




「……全教科、満点?」



 つぶやいたのはマリスタである。



 翌日の放課後。教室区画(くかく)の廊下に張り出された筆記試験の結果を見にきたマリスタとパールゥ、システィーナは、ただあんぐりと口を開けて、成績表の一位の(らん)にある圭の名前を見つめていた。



 無論、その結果にさわいでいるのは彼女達三人だけではない。

 自分の成績を見にきた一般生徒も、ついでに「異端(いたん)」の成績を(わら)|うためにやってきた貴族も。皆が皆、成績表の前でどよめきを起こしていた。



「あらあら。どうしたのですか、マリスタ。めずらしく成績表の前で固まったりなんかしてっ」

「あ、ナタリー」

「気を落とすことないですよ。頑張って勉強したといっても、試験で結果を出せるようになるまでにはやはり時間がかかります。今回駄目(だめ)でもまだ試験は三回ほど残っている(わけ)ですから、めげずに次また頑張れば――」

「ナタリー、そうじゃなくて」

「えぇえぇ、大丈夫ですよ。勿論(もちろん)私はいつもの通り一位か二位でしょうから、そこを見にきたわけではありません。あのいけ好かない金髪大根役者(だいこんやくしゃ)さんが、あれだけ頑張るフリ的パフォーマンスをしておいて果たして一体何位なのかをこの記録石(ディーチェ)でバッチリ記録、明日にでも、努力の様子を編集したダイジェスト映像と共に全校に放送――――――――あゃ?」



 よどみなくしゃべっていたナタリーがけいの順位を確認し、()頓狂(とんきょう)な声を出して硬直(こうちょく)する。



 圭の下には二位でナイセスト・ティアルバー、その下に三位でナタリー・コーミレイの名前。――三位などという低い順位に甘んじたのは、ナタリーにとって初めてのことである。



「す……すごい、よね。アマセ君。ティアルバー君に、十点以上も差をつけて一位なんて」

「……………………、なるホど、ナるほど。やけにいけ好かない風紀の連中が成績表に(たむろ)していると思いましたが、はァ。そういうことですか、ほぉォ」

「落ち着こうね、ナタリー。……でも、ホントに(すご)いよねこれは。努力するだけで、全教科満点なんてとれるものなのかしら」

「ホントにすごいよ、アマセ君……私なんて、また五十四位に落ちちゃったのに」

「五十四位も十分すごいじゃないの」

「に、二十六位さんに言われてもイヤミだよっ」

「素直に受け取ってよ、もー」

「あいつ……ちゃんとリシディアの言葉、読み書きできるようになってるってことだよね。魔術まじゅつも使わずに」



 マリスタが、成績表から視線を離さずに言った。

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