表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
172/1260

「Interlude―32」




◆    ◆




「ったくもー……勝手なんだから」

「いやいや……マリスタあなた、アマセ君に時間を割いてもらってたんでしょう? だったらここはお礼を言う場面だと思うけど」

「う……そっか。うん。そうね」

「……再三さいさん聞きますけど。本当にどうして、あんなこと(・・・・・)があった後でも彼に執着するのですか、マリスタ」

「しゅーちゃくだなんて人聞き悪いなぁ……だからずっと言ってるでしょ。ヒミツだって」

「……………………」

「そ、そんな目で見ないでよ! 別に大した……アレじゃないったら!」

(言いよどんだわね今)

血反吐ちへどと共に絶縁状ぜつえんじょうを叩き付けられたも同然の状態で、よくぞまぁそこまで執心しゅうしん出来るなぁとしか思えないんですけどね……ま、その点に関してはケイさんの方が大概たいがいですが。あれだけ突き放しておいて、一緒いっしょにしれっとテスト勉強なんてしてるんですからね」

「いいのもうそこは突っ込まなくても!……んでもそうやって、私から目だけは離さないでよね、ナタリー。システィも」

「は、はい……?」



 ナタリーが、マリスタにしか見せないほうけた顔で声をらす。

 マリスタがにこりと笑った。



「私、必ずあいつと並び立つくらいに強くなってみせるから。約束する。……だから実技試験じつぎしけん、楽しみにしててよね」

『………………………………………………………………』

「いやいやいや、長いよ! 沈黙長い! 意外な言葉だったとしても長すぎ!」

「だって……ねぇ。ナタリー」

「ええ。落ちてたパンでも食べたんじゃなかろうかと思う程ですが、いかがですシスティーナ」

「落ちてるパンは食べるかもしれないけど……この変わりようにはびっくり」

「食べませんけど?!」

「冗談だってば。でも、そうね。少なくとも、努力に前向きになれたのは、いいことだと私は思うかな。素敵すてきよ、マリスタ」

「でっしょう!? ぬふふ、私だってやれば出来るってこと、証明してやるんだからっ!」

「その意気! 期待はしてないけど!」

「して?!?! そこはわずかながらでもして?!!?」



 小さく盛り上がる二人。

 しかしナタリーは難しい顔をくずすにいたらず、騒ぐ二人を冷めた目でながめる形となった。

 彼女は大きく息を吸い、モヤモヤとした気持ちをリセット――



「…………ああして人を置いてきぼりにするから、」



 ――もとい、若干じゃっかんの復讐をもっ解消かいしょうしようと試みた。



「パールゥもケイさんを追いかけてしまっているのですかね。まんまと乗せられて、不憫ふびんなものです」

「……ん? 今、パールゥって言った?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ