「パパラッチの情報提供」
「ま、百歩譲って転属の件はこれ以上追求しないこととしますよ。――次はケイさん。貴方にとってもわるゥいお知らせです。お勉強の邪魔をして申し訳ありませんが、伝えておこうと思いまして☆」
「……何?」
ナタリーが空いた椅子に腰かける。システィーナもそれに倣った。
「最近、風紀委員の方々とはいかがですか? よろしくドンパチやられてらっしゃいますか?」
「早く要件を言え」
「そうでしょうそうでしょう。一切干渉がないでしょう」
「聞け」
「そして、あなたはそれが気になっている。そうですよねっ☆」
…………それはその通りだ。
どの道、ろくな思惑でないのは確かだろうが。
「その理由が解ったのか?」
「あやや? 理由はとっくに想像付いているのでは? 不本意ですが私も同じ見解ですよ。どうあれ貴方は、いずれ風紀委員会に潰される。これは時間の問題、確定的未来なのでさして気にしてないです」
「そうか」
「私がお持ちしたのは、いよいよ一ヶ月と少し後に迫った実技試験のトーナメント表についてです」
「トーナメント表!?」
マリスタが机に前のめり、俺の視界から再度ナタリーが消える。
そういえば、こいつにとっても実技試験の参加は初になるんだ。気になるのも当然か。
しかし、トーナメントの組み合わせは当日に籤でランダムに決まると聞いていたが。……まさか、少し前にマリスタから聞いた「アマセの相手は全員風紀委員になるらしい」とかいうどうでもいい情報を、今更手に入れたとかほざく訳じゃなかろうな。
「はい。マリスタも知っていると思いますが、実技試験は受験する学生の数に合わせて、四つのブロックに分かれて行われます。ブロックごとにトーナメント戦が行われ、選手たちは監督官となる教師、現役のアルクス義勇兵達によってそれぞれ評価される。そして、優勝を飾った者の中から一組、あるいは何組かが選ばれ、プレジアの威信を背負って模範試合を行う」
「えきしびしょん?」
「学校を代表して戦うってことね。見本になる戦いを見せて、後に続く義勇兵コースの学生たちに『先輩すごーい』って言わせるための試合よ」
「えっ、評価対象にはならないの?」
「ならないな」
「ウッソ、なにそれ。誰が出たがるのさそんなの~」
「まあ、これは流れを説明したまでです。私が握った情報は、とある人物のブロックについてです」
 




