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「足の裏を凝視するな」



 シャノリアがポンと手を叩く。――リセルの奴、最初からお見通しだったという訳か。

 というか、俺がこうして意識で考えていることはどれくらい奴に伝わっているんだろう。医務室で体感した分だと、筒抜つつぬけという程でもなさそうだったが。

 いずれにせよ、早急に解決しておかねばならない問題な気がしてきた。このままこいつに思考やら生活やらを読まれ続ける、読まれていると感じ続けるのは精神衛生上悪過ぎる。



「だから足の裏を痛めてたのね。……にしたって酷い傷」

「ま、修行に集中してる時は痛みに鈍感どんかんになりますし。予想外に痛くなって困ってたんだと思いますよカワイイ~」

あはは(黙れ。)

「焦らなくてもいいのに。遅れは仕方ないことだし、実技試験までまだ二カ月もあるのよ?」

「ふふ、よっぽど高い目標でもあるのかしら。でも順調にいってるみたいですよ。ホラ。ちゃんと足の裏の、一か所しか裂けてない(・・・・・・・・・・)

「あ、そういうば……そうですね。そうそう、これ、ちゃんと練習出来てたらこうなりますよね。って、パーチェ先生良く気付かれましたね。もしかして、経験がおありなんですか?」

「まあ、それなりに?」

「へえ……」

「あ、あの。結局アマセ君はなんで足の裏を……?」

「ま、そこは実技試験を楽しみに待ってなさいな、フォンさん。魔術師まじゅつしは、そうやすやすと己の手の内を明かさないものなんだから」



 含みを持たせてリセルが言う。もう聞かない。こいつは俺で遊びたいだけだ。

 治療は進んでいるんだから、礼以外はこれ以上何も言う必要がない。もう勘弁してく――



「うわ何その足。グロ」



 ――――思うに、今日の俺には女難じょなんそうでも出ているんじゃなかろうか。



 もうこんなに近くで聞くことはないと思っていた声が、真上から。



〝――これで解ったろ。お前達とは、生きる世界が違うんだよマリスタ――――マリスタァッ!!!〟



 ……嫌なことを思い出してしまう。

 どうしてこいつは、あんなことがあった後でも平然と話しかけてこれるのか。



「マリスタ。まだ教室にいたの?」

「アルテアスさん、チャンスよ。この子の足の裏なんておがめるの、今しかないわよ~」

「なんで私が足の裏なんて見たいんですか……私はケガを心配してるだけですからっ。パーチェ先生と違って」

「あらやだ。私もこんな汚い足の裏に興味は無いわよ」

「好き放題言いやがって……」

「今後は人前で醜態しゅうたいをさらす真似をしないことね。――ハイ完治。これで痛みは感じないはずよ」



 足を解放され、すぐさま立ち上がる。カバンを拾い上げ、これ以上おちょくられないよう、シャノリアの手から靴と靴下を素早く奪取だっしゅする。



「ありがとうございます助かりましたパーチェ先生では」

「そんな一息で言わなくてもいいじゃない、もっとお話ししましょ? イケメンの天瀬君」

失礼します(くたばれ)

「あっ、ケイ! 待ってよ」

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