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「Interlude―23」




◆    ◆




「酷い有様ですねぇ。いっそそのまま安らかに逝かせてあげてはいかがでしょうか?」

「冗談でもそんなことを言うんじゃ……」

「冗談? ご冗談(・・・)を」



 回復魔法の準備にかかりながらナタリーをにらみつけるシャノリアの目を、ニット帽を目深まぶかにかぶった少女は静かな目で見つめ返す。



「先生も聞いたでしょう? この男の目的を。そしてこの男は無意識でなく、意識的にマリスタや先生達を遠ざけ、目的の為だけに勉強して(動いて)いたってことです。何が言いたいか、先生ならお分かりになるでしょう」

「……『今勉強に向いてるケイの意識が、別のものに向いたらどうなるか』って言いたいの?」

これ(・・)は目的の為には手段を選ばない。例えばマリスタ(この子)が彼にとって無価値(不要)でなく目的を阻害する存在(邪魔)になったとき……これ(・・)はマリスタを全力で排除にかかる(・・・・・・・・・)。そう言ってるんですよ」

「ど、どういうことナタリー」

貴女あなたにはハッキリ言って差し上げましょう、マリスタ。あなたは……この男に殺されてしまうかもしれないということです。いやぁ困りましたねぇっ」

「――――ぇ……?」



 困惑こんわくと、確かな恐怖きょうふがないまぜになった声が、四人のいる空間に沈む。



「そ……んなこと、あるわけ」

「無いですか?……無いとは言い切れないでしょう。というか、つい先程さきほど彼自身が言っていましたしね」



〝――殺すぞ、お前!!〟



 マリスタが、顔を血まみれにして倒れた圭へと視線を移す。

 その目に映る確かな恐れに、ナタリーはほくそむ。



「改めて言いますよ、マリスタ。この男は、いつか必ず貴女に災いをもたらします。明日より即刻そっこく、この破綻者はたんものから手を引くべきです」

「っ………………」

「先生もですよ? まさか人殺しの手助けをするおつもりで?」

「……あなたなら一度言えばわかると思ってたわ、コーミレイさん――冗談でもそういうことを言わないで」



 シャノリアがぴしゃりと言い放つ。ナタリーは小さく嘆息たんそくしてニット帽をかぶり直し、演習スペースを離れていく。



「おお怖いですねぇ。私は良かれと思って忠告差し上げたつもりなのですが。差し出がましい真似をして申し訳ありませんでした。……ですが、私は友達だけは自分の手で守りますのでどうぞ、しからずお願いいたしますね。ディノバーツ先生も、くれぐれもマリスタのこと、よろしくお願い致します」

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