表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/1260

「Broken Masquerade」



 突き飛ばす。



 倒れたのは、俺の方だった。



「け、ケイっ」

「寄るなっ!……自分で立てる、っ……」



 ガクガクと痙攣けいれんする足を床との間でつっかえ棒のようにし、関節が腑抜ふぬけないように手でひざ鷲掴わしづかみ――演習スペースの壁にもたかるようにして姿勢を保つ。



「何がウルサイよ――一人で立ちたいならせめて心配されないようにしたらどうなのッ!」

「!!」

「マリスタっ」

「それだけ無茶してあれだけイジメられて、それで心配するな俺に近寄るなってのが無理な話でしょ!? 心細くないかな過ごしにくくないかなって思うでしょそのくらいも分かんないの!? それでうるさいとかうっとうしいとか、はぁ!? 意味分かんないんですけどッ!」

「――黙れよ、」

「黙るべきだったのはあんたよ!! 魔法のまの字も知らないくせに風紀委員に立ち向かったりして、ば――……馬鹿じゃないの? どうして逃げなかったのよ。わざわざ大事おおごとにしなくたって、もっと上手いやり方あったでしょ頭いいあんたなら!!!」

「黙れと言うんだ――――――殺すぞ(・・・)お前!!」



 ……比較的ひかくてき、自分でも驚くほど凄味すごみのある声が出た。



 マリスタの怒り顔に小さな動揺がける。

 ナタリーの目がり上がり、シャノリアが目を見開き、ヴィエルナは静謐せいひつを保っている。



 台無しだ。

 行動を指摘され、動揺を悟られ、無意識を探られ。



 …………神にでも、なりたい。



 超然ちょうぜん泰然たいぜんと、この世全てのことに動揺し得ない強靭きょうじんな心が――あるいは虚無きょむが欲しい。



「け、ケイあなた」

「……尻尾しっぽを出しましたね。もういっそ、すべて吐いてしまっては如何いかがです?」

「まさか、ホントに」

「……殺すですって? やれるもんならやってみなさいよ――――あんたは一体何者なの、ケイ・アマセッ!!!」



 ああ、ああ、あああ、もう。



 言ってしまえ、もう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ