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「ジレイ・ディノバーツ」




◆    ◆




 火花。



 リリスティアの展開した精霊の壁(フェクテス・クード)で、俺に向けられた刺突は左目、角膜一枚手前で止められた。



 剣から目を逸らし、目の前の男を見上げる。



 何だ? この異様な男は?

 いやそもそも、俺はどのくらい意識を失って――



 ――――「あなた(・・・)」と言ったか? シャノリアが?



「その子は私の教え子ですッ!」

「……ああ、そうか。賊と同じ目をしていたもので、勘違いした」



 俺を見下す視線を外し、白髪の眼帯がシャノリアを見る。



「やっと妻を助けに来た夫に対して、随分な目をするんだな。シャノリア」

「……これまで、一体あなたは何をしていたんですか? ジレイ(・・・)



 ――――気になっては、いた。



 ディルスやオーウェンと比べ、シャノリア・ディノバーツには、今一つ四大貴族当主に特有とでも言うべき「圧」や「格」をこれまで感じられずにいた。

 ナイセストやマリスタを見るに、大貴族の中にも力の序列があるのかとも考えていた。



 違う。



こいつなんだ。

こいつが――



「ナイセスト・ティアルバー。彼は……」

「ジレイ・ディノバーツ」



 説明を求めたココウェルとジレイの間に立ちながら、ナイセストが言う。



「シャノリア・ディノバーツの婚約者にして……ディノバーツ家の現当主です」



 ジレイ。

 ジレイ・ディノバーツ。

 ディルス、オーウェンと並ぶ、四大貴族の当主を張る男。



 ……シャノリアの言う通りだ。

 何故こいつは(・・・・・・)今まで戦いに加勢しな(・・・・・・・・・・)かった(・・・)?               (縺ュ)

                    豁サ


「ッ……ず、ぐ」

「! アマセ君っ」

「ケイ!」

「小僧」



 突如。



 剣が地から突き出で、リリスティアとシャノリアを俺からて切った。



「ッ!!?」

「ッ!?――あなたッ! 彼は私の教え子だと言った――」

「なんで賊と同じ目をしている? お前は」

「ッ……お前ッ……」



 ――まるで鳥籠とりかごのように俺を囲う細身の刃のせいで身動きが取れない。

 少しでも身をよじろうものなら、どこかで刃が俺の体を裂いてくる。

 右小指の真ん中から血がれるのを感じた。



お前(・・)? 誰に口を利いてるつもりだ小僧」

「何のつもりだ……こんなっっ、」

「抵抗するなよ。ここで殺すのは面倒だ(・・・・・・・・・・)

「剣を収めなさいジレイ・ディノバーツッ!!」



 鋭くココウェル。

 だがジレイは全く意に介していない様子で、俺を品定めするように金色の目を動かし続ける。



「どういうつもりですか――貴方はこの場に更なる混乱を持ち込むために来たと言うんですか!」

「……なればこそ、そこまで痛ましいお姿を衆目にさらす羽目になっているのでは?」

「……どういう意味です?」

「私はこのリシディアを、王家を頂く四大貴族の一です。貴方がたを、そして守りたい者達をあらゆる敵から守る義務と意志がある。そういう意味で――賊と同じ目をしているこの小僧を自由にしておける油断に疑問を覚えます」

「っ、だとしても彼は――」

「ssそうだのう……ディノバーツ、しばらくそのままとせよ。魔術師長。その子どもを捕らえる準備を」

「は――は?」

「ティアルバーもさっさと拘束せよ、いい急がぬか」


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