表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
125/1260

「ケイ・アマセと天瀬圭」



 ……よくまあ、ここまでヴィエルナと同じことを言ってのけるものだ。



「ナタリー、」

「人間をめないでください、ケイ・アマセ。私達は貴方の道具でも駒でも養分でもありません」

「ああ、そうだな。すまなかった。以後猛省(もうせい)し、気を付けるとしよう」



 いつか風紀委員にしたように謝罪し、頭を下げる。

 それ以外、俺から出来ることは何もない。



「……ケイ」

「…………これだけ言われてなおもその態度ですか。成程なるほど

「悪かったと思ってるんだ。でも、俺は今とにかく力が欲しい。だから」

「どうして力が欲しいの?」



 黙っていたシャノリアが会話をさえぎる。

 ……難儀なんぎだ。

 もう二度と動けなくなるようなヘマはしないと誓おう。



「あんたには言ったはずだぞ、シャノリア。俺はこの……リシディアのことを知らない。魔法のこともだ。だから」

「違うわ。……きっとそれは違う」

「……随分ずいぶん分かった風に言うじゃないか。あんたが俺の何を知ってるんだ」

「知ってるわよ。……私はずっとあなたの近くにいたのよ? リシディアに来てからのあなたの行動を全部見てきた。だから思うの。あなたの行動は、ただの知識欲じゃ説明がつかないことが多すぎる。先生を見くびらないで」



 ――こいつ。



「何に説明がつかないだと?」

「……例えば、寝たり食べたり以外の時間を、全部勉強と修行にてていることとか」

「それは説明しただろ。俺はこのリシディアのことを知りたいだけだ」

「人との交わりを最小限にしているところもよ」

「そんなもの人の気質きしつるだろ。俺に限ったことじゃ」

「それも意図的に。交わりたくても出来ない人たちとは違う。あなたは交われるのに、自分から壁を作って離れていく――――私も、きっとマリスタだって、多少なりともそう感じていると思うの」

「そのくせ勉強や修行に必要な時は、何事もなかったかのように自分から部屋に呼んだりする訳ですね、ああ末恐ろしい」

「お前、なんでそんなことを知って……」

風紀委員(わたしたち)とも、積極的に。戦おうと、するよね」

「全部お前達から吹っ掛けてきたケンカだろ。降りかかる火の粉を払ったまでだ」

「違う。私、見てた。から。あなたは……戦いを喜んでた(・・・・・・・)



 …………何だと?



「なにを馬鹿な――――」

「私もあの場に、居た。はっきり見た――――君は笑ってたの、ケイ。オーダーガード君に、向かい合って」



〝――どういうつもりなの、それ。ねえ。アマセ君〟

〝おいおい、早く止めろよザードチップ先生! あいつ、きっと頭がイカレやがったんだ。早く止めねぇと何するか分かんねぇぞ!〟



 ――そういえば、そんなことを奴らに言われた記憶がある。

 その時俺は、まさか……笑っていたのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ