「Alter,」
魔波が走る。
マリスタとシャノリアの視界に雷鳴が差し込む。
雨と光の中、バンターの拳を片手で止めた少年の肩で血に霞んだ金砂の髪が揺れる。
その背後で止まるナイセストの濡れた髪から水滴が滴る。
天瀬圭は、流水のように光る亀裂の左目を見開いて笑った。
「あれえ
これ 誰?」
「お前ッ……お前までッ――だああああァッッ!!」
つかまれ振りほどけない右手に業を煮やしたバンターがその場で左手を振りかぶり――――圭はわずかも動くことなく、その拳を顔で受け止めた。
「ッ!!?――ゴ、ォ、、――べグ――――ッ!!?」
バンターの攻撃と同時――つかんだバンターの右拳を引き、ついてきたバンターの身体に圭の右が深々と――筋肉の鎧を突き破り、突き刺さり――次いで放たれたあごへの蹴りで、バンターを縦に回転させながら吹き飛ばす。
「あは 痛いわ ぁ そういうことなのぉ ?
やっぱり そう何発ももらえない」
「何度……何度俺の邪魔を――アマセ……アマセアマセアマセアマセアマセ」
「は ぁ あ いい絶望
壊して あげるわ あなたの希望 私の為に」
「ッッ――――」
 




