「飛吹――――積み木崩し」
「レヴェ――」
「兄さんッ!!」
アティラスとヴィエルナの叫び。
レヴェーネと呼ばれた魔術師は溜めていた息を爆発させるように口を開くと血をまき散らしながら足を掴まれ空を回転し「るぅォアアアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
――――城が揺れる。
否。
斜めにズレる。
レヴェーネ・キースはバンターに渾身の力で投げられ、ヘヴンゼル城を袈裟懸けに斬り裂きながら城の外へと吹き飛んだ。
どれほどの膂力があればそんな――
二人のアルクスが残光の引く速度で肉薄、前後から魔装剣らしきものをバンターに突き立てる。
バンターは全く意に介さぬように唸り小跳躍、全力で飛び込んだせいで技後硬直を抜けきれないアルクス二名の頭部に蹴「ェエエエエエエエエエァアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!」
――蹴り。
アルクス二人の頭は十数回転してもげ落ちた。
二基の噴水から散る血の雨の中、褐色の化物が地を踏み砕きながら走る。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあッッずぇえぇぇっぇっち゜ぺ!?!!???!?!?!??!?」
疾駆していた獣が体に雷撃でも走ったかのように首と目を狂わせ、こけて地を滑る。
仰向けで倒れ痙攣する褐色の人間の上空にアティラス、剣を下に構えて真っ直ぐに化け物の右目を突き刺し、
「っ、 、、?……!!?」
剣は目を貫けず、止まった。
「――馬鹿も、大概に――」
――いや違う。剣は目に届いていない。
目の焦点が定まったバンターの眼球の目と鼻の先、そこに存在する何かによって阻まれている。
練気とはあそこまで使い勝手のいいものなのか? あれでは俺の盾の砲手と同じ――
バンターがアティラスの剣を掴む。
「ッッ!!」
「剛蓮」
「大兄さんッッ!!!!!」
瞬転したヴィエルナがアティラスを抱きかかえバンターの前を脱し――――血が散る。
「――!!!!」
「ぐば、ァあ゛……!!?」
アティラスの体は、ヴィエルナの腕の中であちこち裂けて出血していた。
「――物体を外側からバラバラにする技――」
「呆けんなヴィエルナァァァ!!!!」
「!!!!」
ファレンガスが地面を割り砕きながら瞬転。
光化しヴィエルナらの前に立ったアドリーの更に前に立ち、二人の教員が二重に物理障壁を展開。
バンターは拳を小さく構え、イミアらが放つ幾重もの上級魔法を蛇のような動きで掻い潜り――――
「ッ――どげヴィ˝エ˝ル˝ナ˝ァ˝ァ˝ッッ!!」
「ッ!? 大兄――」




