「得s愛――――愛の見せあい」
「――――――ッッずァ!!???!?!」
――視神経を指で捩られたような痛みが頭を襲う。
左目が一瞬視力を失い、誰かもわからない女の影が映る。
理解不能なのは、俺が何故か、その女に――――深い深い愛情を、感じてしまったことだ。
放したくない。
離れたくない。
失うくらいならその他全てを滅ぼしたっていい。
そんな激情が、在る筈の無い記憶が、怒涛となって心を貫いていた。
「痛みの呪い」による共鳴が、バンターの近くにいることで強くなっているのか――
「ぅッァ――あぁ゛ッッ」
「!」
「スキ――」
「ありィっ!!!」
首を人間では通常考えられない方向に回転させながら膝から崩れたバンターが、ヴィエルナとファレンガスの重い一撃で壁一枚向こう側に吹き飛ぶ。
「ちったァ効いてるかよ、あぁ……!?」
「…………」
「ぐッ……ァ……」
――頭を押さえ呻くバンター。
効くには効いているだろうが、きっとあいつも今――
「今ですわ――全員ありったけ打ち込みなさいッッ!!」
「海神の三叉槍!」
「雷霆の槍!」
「岩群の王棺!」
「風神の斬喝!」
「終焉抱き新月!」
轟音。
ありとあらゆる上級魔法がバンター一点に打ち込まれ爆ぜる。
「ゼェ――――ゼェ――――ッ、」
「どうだっ……どうだよッ!」
「頼む、もう倒れてっ――」
「気を緩めてはなりませ――」
「五月蠅い」
煙から何かが飛び出し。
イミアの眼前に迫っていた拳をバンターの顔面を光速で蹴りつけたアドリーが止め、
「っ助か――……!?」
「………………ぐ、ッ、!?」
「五月蠅い五月蠅いッッ、」
蹴られたバンターはめり込むほどに力を込めた足で吹き飛ぶのを阻止、再度振り被った右でアドリーの下腹部に拳を叩き込んでいた。
「――――オッサンッッ!!!!」
「あの拳をモロに――!!!」
「うるッッさいんだよ貴様さっきからァァ!!!!」
「っ!!!?」
――――バンターが睨んだのは、俺。
ファレンガスとペルドがアドリーに飛ぶ。
一瞬遅くバンターへ着弾した転移の弾丸が彼をあらぬ方向へ飛ばす。
しかしバンターはそんなことなど歯牙にもかけぬ様子で叫び、暴れ狂いながら俺へと――――!!!
「光食い人ッ!!」
「く――ぁッ!!?」
「!? そんな――アマセ君ッ、逃げて!!」
リリスティアの魔法で視界を失ったバンター。
しかしバンターは寸分違わず俺へと辿り着き、安堵から逃げ遅れた俺のローブを掴み、床へと引き倒した。
殺される。
殺される――――「うるさいんだよ貴様ァアッッ!!!!!!」
「――――――!、?」
「何なんだコレは――――邪魔なんだよ――俺の頭の中でガンガン五月蠅いんだよ!!! こんなものを見せて何のつもりなんだ貴さ――――」
 




