表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1211/1260

「プランAの果て」

「……! お爺様じいさまを……!?」

「そうか……殿下でんかよりも陛下へいかの方が」

「――――」

『……もう聞き飽きた。交渉に応じないのなら――』

「そしてそれこそが!……お前達がココウェルを殺せない、そして城で何かを探していた(・・・・・・・・)根拠になるんだ」

『!!』

「!?」



 ペトラの動揺が息遣いきづかいで伝わる。

 首筋にナイフを押し当てていたくせのあるロングヘアの女が、黒装束の男と共に明確な反応を示したのだ。

 ――いや、だが今の反応は――



「……探していた? それは、お爺様じゃなく?」



 目を細めたココウェルに先を促され、一先ひとまず続ける。



「もしこいつらがノジオス達を出し抜き、バジラノ(自分達)が国をためだけに王族を探していたのなら、何よりまずは目の前の王女を狙うはずなんだ。既に王女はあの老騎士に捕まってたんだからな」

「……お前の話では、こいつらが城に入ったのはあの老騎士が城に入ったのとほぼ同じタイミング、という話だったな。アマセ」

「ああ。だからなおのこと、あの老騎士ろうきしを闇討ちにでもして、まず王女を手元に置いてからでも王の捜索そうさくは遅くなかったはず。それこそもうリシディアを脱出しているかもしれない王を、刻一刻こくいっこくと戦況が変わる中で探すなんて大博打おおばくちにも程がある。だがこいつらは何故かその博打を打ち――――結果、王も王女も得られないままここにいる」

「…………」



 ペトラが怪訝けげんな目を光らせながらこちらを見ている。

 俺は眼前の黒装束へ視線を投げた。



「ここで一つ可能性が生まれる。こいつらが真に狙っていたのは王女でも王でもなく――――『王族だけが知る、あるいは持つ何か』なんじゃないか、とな」

「わ、王族わたしたちだけが――」

「そしてそれは恐らく――――どんな劣勢れっせいさえも一瞬でくつがえせる、文字通り『魔法のような何か』だ」

「――は。ハァ??」



 ココウェルの声がいよいよあきれの色を帯びる。



「……仲間が全滅しても、本隊が戻ってきても……勝算があったというのか、こいつらに。たった三人で?」

「ゼ、全然心当たりないけど、わたし――」

「……そうか。お前には心当たりが無いんだな――バジラノ(こいつら)懸念けねんは正しかった訳だ」

「え……え? 何、ちょっとどういうこと? こいつらの懸念って?」

「こいつらがお前でなく王を狙うことにこだわった最大の理由。きっとこいつらも考えてたんだろう……王族の出涸でがらしと呼ばれたお前を捕らえた所で、自分達が求めているものを、そのを全く知らない可能性を。だからギリギリまでお前を襲ってはこなかった」

「…………捕らえる価値も、なかったってこと?」



 小さな屈辱くつじょくの声。

 仮面と髪で目を隠した二人のバジラノ人の目線は、今は少なくとも俺に向けられてはいないような気がした。



「……何よ。一体こいつらは何を狙ってたっていうの……!?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ