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「ド根性――――だけで実力は覆らない」

「っ……!?」



 肩をつかみ、今まさに最上級魔法を途切れさせようとしているイミアを後ろへと追いやり――マリスタ・アルテアスが障壁しょうへきを解き、前に出る。



「っく……(すっごい熱風……でもチャンスはここだけっ。攻撃を途切れさせたらあいつに体勢を変えられちゃう!!)」

「あ――あなた何を考えてッ、」

「そのまま限界まで打ち続けてくださいッ!!」

「!」

「……ハァ。いい加減死に時だぞ小娘っ――見ていて解らんか!? もうクソガキ共の出る幕じゃない、今は大人の時間なんだよッ!!」

「――〝裂海れっかいの主よ。界溝かいこうおさめし大嵐たいらんにない手、天空神あまそらのかみ神子みこよ。〟」

『!!!』



 イミアが意図を理解し、そして自身の魔法では決着がつけられないことも認め――最後とばかりに最上級魔法を出し切る。

 最後の勢いが二人の体をわずかに更なる上空へと押し上げ――その烈風を真正面から受けながら、マリスタは大の字に両手を広げ、体の中心に水の輝きを錬成れんせいしていく。



(もう後のことは考えない。このジジイを倒すため――今の私ができる渾身こんしんを、全部、ブチ込む――――!!!)



「〝颶風ぐふう従えしその諸手もろてかか海波かいは聖痕せいこんをこの手に。わたらしめたま海竜かいりゅうこえ〟――――!!」

「な、なんだなんだっっ、」



 激流のまたを、両掌りょうてのひらで押し留め――全力をもって、放つ。



海神の(ヴァダレイ・)――――三叉槍リュアクスッッッ!!!!」

「――――――」



 突き出されたマリスタの両手から、空気さえ刺殺しさつする水の槍が、渦巻く水流をまとって放たれる。

 それは今にも弾かれ消えんとする火と風の最上級魔法を継ぐように、真っ直ぐノジオスの防護魔法ぼうごまほうへと激突し――



「――――ぷぷ、」



 ――当然、あっさりと防護魔法に弾かれ始めた。



「ぷふふふふふぅぅっふふふっふふふずずずゥああああ~~~~~~~~っははははははははは!?!?!??! なん~~~じゃそら?!?!?! これだけタメ(・・)て出したのがたかが(・・・)上級魔法一発?!?!?! 知らんのだろうなァ~この防護魔法符がどれだけ高価で効果テキメンな代物かァァァァ!!!!」

「ッッ……く、そ……!!!」

「なぁ~~~にがクソか、ずわははははははァハァアハァ!! この期に及んで恥をさらしに前へ出たか、えぇ!?!?! ぬずわははは!!! 冗談もそこまでくると――――――――何一つ笑えなくなるぞ。糞餓鬼くそがき

「ッ!!?」


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