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「ド根性大戦――⑤」

『!!?』



 吹き付けた魔波まはに「ディオデラ(・・・・・)()わずかに後退する。



「っ……どうなっとるのだ大貴族だいきぞくとは、まだあれだけの魔波を……!?」

「――大したものだ……!」

「……『アルテアス』か……」



 アティラスとガイツの感嘆かんたんを聞きながら、イミアが小さく笑いながら――詠唱を完成させていく。



「――〝嘲謔ちょうぎゃくし天竜をほふ逆巻ぎゃっかん第六だいろく旋風つむじ、〟」

「ッ――ぬゥアアアアアッッ!!!」

「キャッ!!?」



 ――地が震える。

 跳躍ちょうやく、そして渾身こんしんの着地。

 「ディオデラ」が地に叩きつけた両足が地盤を陥没させ、合わせ周囲の砂埃すなぼこりが嵐と霧を喰らい尽くす。



(またあの石投げをやる気……!? させるわけ、)

「避けるんだアルテアスッ!!! 瞬転(ラピド)の魔波だぞ!!!」

「!?」



 ――そういえば、と少女が思うのと。

 地面を爆発させ地をった機神の鉄拳てっけんが、



 マリスタの眼前を通り抜けたのは、一瞬のことだった。



「――――ぁ、」



 高い金属音があちこちで鳴る。

 マリスタがようやく声を出す。

瞬転(ラピド)で飛んできたアティラスが体を「ディオデラ」のいる方向へ回転させながら着地し――――声も無くひざを屈する。



「っ!? ヴィ、ヴィエルナちゃんのお兄さ――」



 ――その背から外套マントが引きちぎられ、着込んでいた鎧が左に引っ張られた皮膚ひふのようにゆがんでいるのを見て、マリスタは再度言葉を失った。



「(今の音速の鉄拳が背中をかすめたんだわ……私を守って……!!)だっっ、大丈夫ですかお兄さんッ!」

「…………!!」

「ごめんなさいっ、私がまた守られて――」

「はき違えるな、」

「――え?」



 ひざを折ったままアティラスが続ける。

 ちぎれた外套マントから、また金属音をたてながらアティラスの武器の()が落ちる。



「もう君が義勇兵ぎゆうへいコースの子どもだから守ったんじゃない……大貴族マリスタ・アルテアスがこの場に必要だから(・・・・・・・・・)守っただけさ」

「――――、」

「ぐ――さあ行くぞ言ったろうッ、兵士長はもう体力の限界なんだ!!」

「! わかりましたっ!」



 二人が魔波を頼りに飛ぶ。

 土煙を抜けた先では「ディオデラ」が放とうとする投石の第三砲を、ガイツがパルベルツで叩き落としている所だった。



「ずわははははは!!! どうしたデカブツめぇ、もうあの『そよ風』を撃つ気力もなくなったか!! 天下のアルクス兵士長ともあろう者が無様なァァ!!!」

「ゼェ――・――ッッ、ゼェ――・――ッ、」

「そら忘れたか――機神の攻撃手段は石ころだけではないぞぉォォア!!」

「!!」

「いけない――!!!」



 「ディオデラ」がガイツをつかむ(・・・)

 アティラスがマリスタを置いて瞬転空(アラピド)で加速する。

 しかし障壁展開しょうへきてんかいもままならないまま、



「ずわァァアアアアアア死にさらせアルクス兵士長ォォォ!!!!」



 ――――魔装大剣まそうたいけんパルベルツが飛ぶ(・・)



 ガイツは、「ディオデラ」の肩から放たれた二つの岩群の王棺(ルペスカ・ルカラス)にその身を引き裂かれた。


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