表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1178/1260

「二姉妹VSナイセスト」

 割れ散るガラス片が陽光に光る。



 ヴィエルナ・キースの目が舞うきらめきの中――ナイセスト・ティアルバーの漆黒しっこくの目とすれ違う。

 より精悍せいかんさを増したその目は――



粛清しゅくせいの時間だ。畜生ちくしょう共」



 ――ヴィエルナが四肢を斬り飛ばされた(・・・・・・・・・・)、あのときと同じ冷酷れいこくをたたえていた。



「クソッ――ミエルッッ!!」

「――――っっ、」



 ぼさぼさの長髪をした少女ミエルが自身に訪れた危機をようやく察した時――――眼球をねじ曲げるような魔波が倉庫一帯をあっした。



『ぐがあぁ――ッッ!!?』

「くっ、ァ……!!?」

「――――――ッ、ぁ」



 魔波にあてられ嘔吐おうと泡吹あわぶき失禁しながら倒れていく悪漢あっかん達。

 ミエルも焦点のずれ始めた目を見開き、気管を潰されているかのように口をぱくぱくとさせ――痙攣けいれん、一気に脱力して仰向あおむけに地に倒れゆく。



 ショートヘアの下でピアスのついたまゆを怒らせたトゥトゥがナイセストを殴りつけたのはその時だった。



「テメェェッ――ミエルに何をしたッ!!」

(――この圧の中で意識を失わん子供、か)



 兵装の盾(アルメス・クード)を展開し、眼前のトゥトゥを無視して部屋の状況を把握するナイセスト。

 一角に集められたアルクスら、次々倒れた敵。

 残っているのは――眼前の子どもただ一人。



 障壁がひび割れる(・・・・・)



「!」

「ナメてんじゃねぇぞクソ大人風情がよぉッッ!!」



 はし雷光らいこう



 トゥトゥが拳に装着したナックルダスターから飛んだ蛍光緑色けいこうりょくしょく閃電せんでんが彼女の着ているロックテイストの黒ジャケットに色を与え――少女の拳を急加速させる。



(あのメリケンと服――一組の魔装具まそうぐか)

「ッ!」



 ナイセストの背後に現れる黒きくい

 魔力回路(ゼーレ)不活性化の能力を有する暗弾の砲手(ダークバレット)の連弾に急速後退、トゥトゥは倒れたミエルの服の襟首えりくびを引っ張りながらちゅうで後転し、彼女を危なげなく抱きかかえた。



(あの年であの体術――戦い慣れしている)

「ミエルしっかりしろ、おい――チッ、」



 背が低いとはいえ同年齢の少女を抱えながら、しかも相手は大貴族最強の一角。



 早々に正面衝突を捨てたトゥトゥはそばに落ちた悪漢のナイフを手に取り倉庫の一角へ疾走しっそう所有属性武器(エトス・ディミ)錬成れんせいし駆けてくるナイセストには目もくれず――――目を見開いた重症のロハザー・ハイエイトの首をつかみ、ミエルを自身の背後に置いて彼の首にナイフを――――深々と突き立てた。



『!!!!!』

「ロハザーッッ!!」

「ガキがテメェやりやがったな――!!!」



 ヴィエルナの悲鳴。

 ファレンガスの怒号。

 トゥトゥはへらへらと笑いながらナイセストを見て、



「オラ止まれやこいつの首ぶった斬るぞザコ野ろ――」



 ロハザーの腹部を貫いた闇の鎌剣(コピシュ)に、自身も腹部を貫かれた。



「――かっっ、、!!?こいつなんッッ……!!?!?」



 何の、ためらいも。



 そんな甘い言葉をつぶやく間も与えず、れいなる漆黒は少女を追い詰めていく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ