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「ド根性大戦――①」

「一瞬で障壁と、魔石を壊せる大技……!」



 マリスタを除く全員が、王宮おうきゅう魔術師まじゅつしちょう――イミア・ルエリケを見る。



わかりましたわ。『砲台ほうだい』として、最大限の火力を撃ち込んでみせましょう。ですがその間、」

「解っている。陽動は引き受ける――何としても攻撃の隙を作る。合図を」

「ええ。――ではご武運を、みなさん」

「はい……!」

「っ――わ、わかりました!」

「――これで最後だ。奴を倒すぞッ!!」



 おおっっ!!!



 ときと共に、四人が機神へ飛ぶ。



「無駄だ無駄だむだだむだだむだだだだだだだ!!!!!」



 巨体の熱量や鈍重どんじゅうさなど感じさせないほどの拳の連打が四人を襲う。

 イミアは風力で凸凹でこぼこの地をものともせず推進すいしんしながら――――詠唱を、開始した。



「――――二重詠唱(ツヴァーデュ)

『ッ!!?』



 感じたことの無い魔波まはのうねりにノジオスとマリスタが目を見開きイミアを見る。

 彼女がこれまでにない――何かとんでもないことをしようとしていることは、魔波だけで一目瞭然いちもくりょうぜんだった。



「そんなことォ――――俺ッ様がさせると思うかァァァ!!?」



 風の刃がうなじに迫る(・・)



「ァ――――ァァァアアアア?!??!?? っっぶなづぎゃ!!!」



 間一髪閃風陣(アネモスパーダ)の接近に気付いたノジオスが「ディオデラ」の手でうなじを防御、手首ともども首筋を打たれて大きく傾く。

 そしてその腕を、



「あああああッ!!」



 アティラスの鉄槌てっついが打ち――うなじを守る手を弾き飛ばす。



「ッあーーーーー!??!?!ああああーーーー!??!??ッッッ!!!」



 アティラスに合わせるようにして放たれた閃風陣(アネモスパーダ)

 「ディオデラ」はそれをもう片方の手で防ぎ――「ディオデラ」が地に倒れた。

 爆風のような土煙が舞う。



 ――もはや作戦など、彼らにとって半分は関係ない。



 作戦(イミア)を待たずとも――ただうなじの駆動魔石くどうませきを、破壊さえできれば何でもいいのだから――!



「おおおッ――――ッく!?」

「ぬあああああああッッ!!!」



 もう片方の手も弾き飛ばそうとしたアティラスを背に――「ディオデラ」が体を横に転がし、地面の上をのたうち回る。

 たまらず下がったアティラスとガイツに距離を取り、土まみれの「ディオデラ」が起き上がった。



「ぐあっ……げはっ……えはァっ……!!」

「――実戦の経験は少ないようだな、あの中年。戦闘中の正しい疲れ方(・・・)を知らんように見える」

「幸か不幸か――じゃないかな。セオリーを知らない分、予想外の動きをされやすい。今みたいにな」

「ずぎゃぁっ……えげぁ、はぁッ……」

「〝あおとばり四天してんとざせ〟」

「……ッ!!?」



 ノジオスの視線がれる。

 そこにいるのはイミア。



「〝不死(こく)ほのおにその身をべし終焱しゅうえん磔姫はりつけひめなげきさえめっされし号哭ごうこくの女神ウルカンの〟」

「させェェェェェんッッ!!!!」

『させんッッ!!』



 イミアにとびかかる「ディオデラ」の正面の土を突風で巻き上げるガイツ。

 標的を見失った「ディオデラ」ががむしゃらに前面の地面を拳で叩き潰し――すすけたこんのローブをはためかせ、魔術師が土煙を破って上空へ飛ぶ。

 拳を逆手にすくい上げた土塊どかいを投擲しようとした「ディオデラ」を――――横からアティラスの鉄槌が打ち、巨体を横っ飛びに吹き飛ばす。



「おぬァッッ!!!?」

「ガイツッ!」

閃風(アネモス)――グッ!?」



 片手で魔装大剣パルベルツを構えたガイツが小さくせき込み、空で止まる。

 位置を知った「ディオデラ」が左手を地に着き体を支え――体を回転させながら背後へ右腕、右足を振り回す。



「イカン魔力切れッッ――」

「があああああァァァァッッ!!!」

「ッ――――」


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