表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/1260

「もっと、」



「…………私の話。聞こえて、ないの?」



 ああ、なんてこった。



 このまま鍛錬たんれんを続ければ、俺は――こんな力をいつか必ず、手に入れることが出来るのか。



〝――将来のこと、まじめに考えてるの?〟



 ――今、俺はやっと、歩けている。



 琥珀色こはくいろの弾丸を創り出す。



「!!!」



 ヴィエルナの足が回避に動く。

 彼女の真横、倒れた俺の真上に発生させた弾丸(バレット)ぜ――



「――っ!? ったい」



 ――足を動かした先にあった氷の床ですべり、ヴィエルナは盛大に転倒てんとうした。



「さっきの凍の舞踏(ペクエシス)の――――!」

「遅い」



 寝返りを打つ要領ようりょうでヴィエルナを視界におさめ、魔弾の砲手(バレット)を数発放つ。

 ヴィエルナが尻餅しりもちをついた姿勢で後転こうてんし、両手で体をちゅうね上げて弾丸をかわしていく。

 俺はようやく立ち上がることが出来た。

 ――まだ、完全には平衡感覚へいこうかんかくが戻っていない。英雄のヘロス・ラスタングは、こうした体の感覚も研ぎませてくれているのだろうか。

 まだまだ検証の余地ありだな。

 ヴィエルナの足が地をとらえる。

 さて、来い。もう一度あの「音速」を見せてみろ。



 少女のローブのすそたわんだ。

 両手を突き出す。



兵装の盾(アルメス・クード)――――」



 つぶやき、物理障壁ぶつりしょうへきを展開。

 体中を目にするようにして、「音速」を使おうとしているヴィエルナの、あらゆる動きに集中する。

 足の裏、床と接している部分で高密度こうみつど圧縮あっしゅくされた魔力が弾け、筋肉の動きと連動しているのが感じ取れた。

 先と同じく、ヴィエルナが一瞬で俺の前に現れ、り出されるこぶしが障壁に正面衝突しょうめんしょうとつして、



「ぐッ――!」

「っ……、」



 障壁がひびれる。



「……凍の舞踏(ペクエシス)!」



 割れて消えゆく障壁の向こうへ小さな吹雪ふぶきを放つ。

 しかし即座に後退したヴィエルナによってついでに(・・・・)こころみた追撃は失敗に終わる。再び生成される氷の柱。



「やっぱりカラクリがあったんだな。さっきの音速」

「見破っても、無駄むだ。使えないなら追いつけない――!」



 柱をはさんで真正面に立っていたヴィエルナが移動して再度俺の正面に姿を現した――今、なぜ移動した?――。また奴の体が沈む。



 ――まさか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ