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「ひるがえる白き」
白旗が、ココウェルの眼前で断たれて落ちた。
「――――ぇ」
白旗を結んだ棒が、中身の無い音をたててバルコニーに転がる。
その切り口は鋭利で、剣によるものであることはすぐに知れた。
ココウェルの視界の端で剣が更にもう一閃され、大きな白旗が切り取られる。
その白布が彼女の背後へ消え――――次の瞬間にはその布を肩から被せられた。
ココウェルの後ろに、誰かいる。
風が鳴る。
振り返ったココウェルの視界で、白き布がひるがえる。
涙でにじむ視界の中、ひるがえる白のその先には、
王女を守るように立つ、手足に鎖をぶら下げた白黒髪の少年の姿があった。




