表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1111/1260

「『呪い』を、使った。」

「ッ、だったら――下はどうだッ!」



 ビージが拳で床を打つ。

 マトヴェイの魔法に反応する大理石の床は当然ビージのそれにも反応、変性し、大理石の床を盛り上がらせながらマトヴェイへせまる。



 が、同じことだった。

 床の中にまで及んでいた青い光を放つ防護ぼうご魔法符まほうふの効力により、ビージの土竜の行軍(スオロプス)は途中で障壁に激突し消える。



 巻物(スクロール)赤光しゃっこうが、増していく。



「ッ……私が行くッ!」

「!? バカっ、マリスタ! 不用意に突っ込むな、どんな魔術が封じられているか――」



 イミアの発生させた竜巻により砕かれた大理石のつぶてが舞い、サイファスとマトヴェイの召喚獣しょうかんじゅうが床に壁にと縦横無尽じゅうおうむじんに張られた戦線の中を、マリスタが所有属性武器(エトス・ディミ)を片手に瞬転(ラピド)を駆使し、マトヴェイの背後へと向かう。



 当然気付いたマトヴェイが再び床を変質、マリスタの行く手に迷路のような壁を作り上げようと床を盛り上げようとし――マリスタに続いたビージがそれを遠距離えんきょりから土竜の行軍(スオロプス)おさえ、大理石の主導権が拮抗きっこうする。



 大理石の流れ玉をかいくぐり、戦う泥人形のとばっちりをなんとか避け――それでもあの赤光を止めなければならないと、警鐘を鳴らす本能の赴くままに無我夢中でマトヴェイの背後へ――――たどり着き、



 そして、遅かった。



わたしをあげる(繧上◆縺励r縺ゅ£繧)



 マトヴェイが、何かを短く詠唱えいしょうし。



 呼応した赤光が――――赤銅しゃくどうの光が、空間をつぶし。



 赤き髑髏どくろは、再びその姿を現した。



『――――――っっっ、』



 ビージとマリスタが固まる。



 赤い霧と、赤い粒子状りゅうしじょうの魔波によって構成された、襤褸ぼろをまとう髑髏どくろ



 腹部の中ほどまでしか霊体(実体)の存在しない、五メートル超の赤き幽霊ゆうれいはゆっくりと骨だけの手を握り――その手の中に、赤き大鎌おおがま錬成れんせいしていく。



 少年少女は急速に思い出す。



 その姿を。

 根源的こんげんてき恐怖を。

 画面越しにさえ感じた、息が詰まりそうな魔波を。



 今なお、ケイ・アマセを苦しめ続ける、その禁忌きんき魔術まじゅつは――――



「…………『痛みの』ッ、」

「『呪い』っ、だと……!!?」



「おい、お前達ッ!! 気をしっかり持てッ!!」

『!!』



 サイファスの声に慌てて我に返る二人。

 ビージも首を振って気息きそくを整え、状況を把握しようと視野を広くして――――



「――……魔術師まじゅつしちょう?」



 ――イミア・ルエリケの「現状」を、やっと認識するに至った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ