表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1101/1260

「新たなる刺客」

「……半信半疑だったけどよ、」

「おめーら気ィつけろッッ」



 ガイツに負けぬたくましい体を持つ義勇兵ぎゆうへい、ガイツ・バルトビアの肉体は、分厚い筋肉と英雄の鎧(ヘロス・ラスタング)で文字通り、鋼のように得物を通さない。



「そいつも剣刺さんねぇぞぉぉぉぉッッ!!」

「マジなんだな。『プレジアで訓練()みゃあ、そこらの兵士程度じゃ相手にもならなくなる』ってのはッ!」

『いいいいいい!!?』



 ひじ打ちの要領で腕をぎ、悪漢二人を弾き飛ばす。

 サイファスの召喚獣をかいくぐり、両腕を横に伸ばして庭を駆け巡るだけで――――その鋼の腕になぎ倒され、そのまま立ち上がれない悪漢多数。



 ガイツ班全て、このような(・・・・・)実力の持ち主。



 「雑魚ざこばかり」と見立てたイミアの言葉通り、この者達だけでは庭を突破されるのは時間の問題であることを――――ノジオスとマトヴェイも十分確信していた。



「親父。モノは相談なんだけどさ」

「そうだ奴ら(・・)もあの三人も出せッ! 急げッ!!」

「親父」

「ダメだァ!! 状っ況をよく考えろマトヴェイっ、いくらお前の頼みでも――」

「その奴ら(・・)やあの三人が突破された場合で構わない。戦いには興味がないからさ。だからその時――マリスタ・アルテアスがまだ生きていたら、しつけ(・・・)は俺に任せてくれよ」

「勝手にせいっ!」

「熱上げてんなー。そんなにこの国の王になりたいのかよ? 親父」

「――、」



 ノジオスが一瞬、マトヴェイを見て静止する。

 その目の意図をせないマトヴェイが片眉かたまゆを上げたときには、既に父の視線は他を向いていた。



「念には念をだ。アレも用意しろ」

「アレですか!? しかしアレはまだ完全に――」

「口答えするなァ! 商売の鉄則は念には・念を・保険をだァ!! いいからさっさと準備しろッ、その為に増設した地下倉庫だろうがッ!」

「ははぁっ」

「……まあいいけど。楽しみだね」



 マトヴェイは考えを打ち切り、屋敷の奥へ向かうノジオスに続いた。




◆    ◆




大岩の召喚獣に蹂躙じゅうりんされ濃い土のにおいに満たされだした庭に、大火たいかほとばしる。



『!!』



 ガイツ班が下がる。

 一人のアルクスが走り出て、詠唱えいしょうと共に――ガイツ班全てを覆うほどの横広よこびろさを持つ魔法障壁まほうしょうへきを展開、迫り来た大火を左右の植木へと流し延焼えんしょうさせていく。



「あっつ……熱気がっ」

「術者の位置は」

魔波まは確認。炎の向こう、屋敷の入り口だ!」



 ガイツが目を細める。

 やがて炎の向こうより現れたのは、顔半分が焼けただれた眼鏡とコート姿の男。

 見覚えのある顔にガイツが目を見開く。



「……手配レベルB、『火事場かじば』のゴドロイ。やはり『さかみ』ワーヴローと一緒に居たか」

「――本当なのかガイツ、あいつが……」

「ああ。俺が――二年前に一度取り逃がした手配者だ」

「待てっ。まだ隣に誰かいるッ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ