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「Interlude―22」

「ちょ……!!?」



 マリスタ・アルテアスはいきなり臨戦態勢りんせんたいせいに入った二人――天瀬圭あませけいとヴィエルナ・キースを、演習場のかげから目をひんいて眺めていた。



(ま、まったまった。まさかとは思ってたけどヴィエルナちゃんの「確かめ方」ってコレ?! だーもう殴り合って何が分かるってのさマンガじゃあるまいし!!――――あっ)



 マリスタには視認しにんさえ難しい一撃が、しかし鈍く小さな音となって確かに圭の頬を打ち抜いた。



 細かいことはひとまず置き、「とにかく彼らを止めよう」と思い至ったマリスタは、物陰ものかげから魔術師コースでも習う初級魔法、魔弾の砲手(バレット)を準備して呪文ロゴスを――――



(こらっ。演習スペースの外で攻撃魔法を使っちゃダメでしょうっ)

(というか、スペース内には外から干渉出来ませんよ。物理・魔法両方に対する障壁がありますからね)



 声と共に、マリスタの頭がぽす、とはたかれる。

 同時に空中で小さく回転していた琥珀色こはくいろ砲弾ほうだんは、ぽしゅうと非力な音を立てて消えた。

 うっかり舌をみそうになったマリスタが誰よ、と叩かれた方角をにらみつけて振り返ると――そこには何故かシャノリア、そしてナタリーの姿があった。



(ナ――ナタリーとせんせふみゅっ)

(お、大きい声出さないのっ、聞こえちゃうでしょ)

(そうですよマリスタ。せっかくあの男が女生徒をいたぶっている現行犯の写真が撮れそうだというのに)

(げ、現行犯!? ていうかどうして先生たちが)

(あなたのことは何でも分かりますよ)

(何でも?!)

(わ、私はケイが夜中も訓練施設にいるからって言われて心配になって……というか、あのグレーローブの子……風紀委員のヴィエルナ・キースさんよね? どうして彼女がケイと……)

(そ、それはその……)



 マリスタがグ、と押し黙る。



〝私、いてくるから。だから、待ってて〟



 ヴィエルナは、確かにマリスタにそう言った。

 だがその言葉の意味を、マリスタは確信をもって口にすることが出来ない。

 拳で語り合えば理解し合えるなどという、御伽噺おとぎばなしめいたことを――当のマリスタでさえに落ちていないそんな言葉を口にしたところで、到底この二人を納得させ得る答えにはならない。



(痛いのはダメだ。でも――――この戦いを、ヴィエルナちゃんがやろうとしてることをみないのは、もっとダメだと、思う。わかんないけど!!)



 飛び出していきたい衝動を押し殺し、マリスタは二人を見る。



(……私にも、分かりません。だから見てましょう、ここで。ヴィエルナちゃんが、ケイが一体何をしようとしてるのか)

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