表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1094/1260

「三姉妹――①」



 石階段を降りて現れたのは、先にどこかへ消えていった三つみのツインテールを揺らす少女。



(たしか――カシュネ、だったか。こいつらの中で、一番上の姉貴あねき

「話しちゃダメだって言ったでしょう、ミエル。スキを見せたら何されるか分かんないよ」

「きいて、この人しっていたのよ。お母さんの『たいせつなひと』のこと」

「え? 『大切な人』の?」

「『アヤメ・アリスティナ』……奴はそう、名乗ってた。本名かどうかは知らねぇぞ……ごほ、」

「……デタラメじゃないの?」

「体の傷から魔波を感じたんだとよ。母さんの身体に残ってたのと同じにおいのやつを」

「……ふーん、この子の鼻なら信用できるわね」

「あの大男……何者なんだ? どうやってあんな――」

「バンターっていうのよ」

「フツーに名前バラすなオイっ」

「バンター……? あいつも、アンダンプから来たのか」

「……さぁ。知らないわ」

「オイいいのかよ。ヘタにこいつらと――」

「少しでも母さんの情報、欲しいからね。色々と口をスベらせるかもしれないし。しぼれるだけしぼり取っときたいじゃない? あり過ぎて困ることはないんだから、お金は」

「! じゃあ――交渉成功したのか? あの金ヅルと?」

「もち。この仕事が終わったらパーティーしましょ、バンターと四人でね」

「うひょう」

「ハハハ、ドケチの姉貴にしちゃ羽振はぶりいいじゃねえか」

「付いてきた甲斐かいがあったってもんね。バンターも大活躍してるそうよ、こいつらの仲間を半分くらい一人で片付けたみたい」

「はは、さすがだな。ほんととんでもねーよ、あのおっさん」

「…………お前達。そのバンターって男といた時間は短いのか?」

「なんかげつかまえにあったばかりよ。それからはずっと一緒にいるけど」

「こんな生活してるから、命を狙われることも多くてね。住処すみかを焼け出されちゃったのよ」

「!? 焼け――」

「してやられたわ。そのときは敵の動きを察知できなくて。そしたら――」

「……追っ手からバンターが、助けてくれた?……」

「うん。強かった。てきからすこしも、こうげきをうけなかった」

「成り行きだったと思うんだけどね。でもあいつは私達を助けてくれた」

「テメーらみたく言葉だけじゃなく、本当にな」

「だからわたしたち、ホームレスだったバンターをあたらしいいえにすませてあげることにしたの」

「体調悪そうだったしね。恩をあだで返したら、結局自分達がしっぺ返しくらうし。だったらと思って家にかくまったの――そしてそれは正解だった」

「それにやさしかったのよ。まるで……お父さんみたいに」

「ミエル。私達にお父さんなんていないわ」

『――――……』



 強さと、優しさ。



 それが、三姉妹がバンターについていく理由。



「あの人は強い。絶対私達を守ってくれる――とは言い切れないかもしれないけど、あの人に付いていくことが現状、私達が生き残る最善の方法だった。今だってそうでしょ? バンターは私達の近くにすらいないのに、結局あんたらの半分を打ち殺した。ほんの少しの時間で私達の脅威きょういを半分もけずってくれたのよ。だから私達は私達の仕事に集中できる」

「仕事……?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ