「子どもに罪はない」
「――――――」
「……しないわ。それはできない」
「心配するな、身の安全は保障する。お前達をプレジアに――ぐっ!?」
「安く見られたモンだぜ。『身の安全は保障する』だァ? テメーの身の安全さえ保障できてねぇマヌケがなにほざいてんだバーカが――テメーらみてぇな平和ボケしたザコ共の指図なんか受けるかよ。これはアタシらの人生なんだからな」
「……何が『あたしらの人生』だ――」
顔面を蹴られ、なおもロハザーは眼光を弛めない。
「――テメェら自分がテロに片足突っ込んでるのが分かってんのかッ!! この国は子どもだろうと犯罪者相手には容赦ねぇ、ガキがその年で首くくられるような危ないマネしてんじゃねえッ!」
「都合のいい時だけガキ扱いしてんじゃ――」
「都合の悪い時もだッッ! テメェらはどこまでいっても子どもだっ、平穏無事に暮らしてられるのが当たり前の子どもなんだッ!! そうじゃなきゃ――そうじゃなきゃおかしいだろうがッ!!」
「テメーの異世界にアタシら勝手に当てはめてんじゃねぇッ!」
振り抜かれた足を。
体を起こしたロハザーがその顔で受け止める。
「ッ――テメェいよいよアタシらをガキだとナメてるみてぇだなッッ……!!」
「ナメてんじゃねぇ事実だっ、おめーらはまだ年端もいかねぇガキだッ! 今までお前らを守らなかった異世界が間違ってんだッ」
「まだ言ってることが解らねぇか? テメーの異世界の話なんぞしてねーんだよ、テメェの命握ってんのはアタシだから黙ってろって言ってン――」
「イチバン守りてぇモン前にして黙ってられるワケねえだろがッッ!!!」
「ッ!?」
ロハザーが頬でトゥトゥの蹴りを押し返す。
その目が、
〝『カシュネ、トゥトゥ、ミエル』〟
いつか見た誰かの目に、よく似ていて。
〝『生きて』〟
「ざけんな……ざけんなざけんなざけんなっ! テメェにアタシらの何が解んだよ!?」
「解んねぇよ、だがおめェらが子どもだってのは誰が見ても――」
「だから解ってねぇって言ってんだッ! アタシらがここまでどれだけ殺して――」
「『子どもに罪はない』ッッッッ!!!!!!!!!」
『ッ!?』
魔波が音圧を伴い、トゥトゥとミエルを圧す。
「ハイエイト家の家訓だ――どんなバカやってようがそれが子どもなら守られるべきだ、それは世界共通のルールだッ!! だから安心しろ、俺らは――俺はお前を見捨てねぇっ。なんでもいいからこっちにこい、テロなんかに関わるんじゃねぇトゥトゥ、ミエルッ!!」
「うるせえええええええぇぇッッッ!!!!!」
ロハザーの手を払いのけ。
そのまま振りかぶった拳で、トゥトゥが彼を殴り飛ばす。




