表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1068/1260

「居住区の戦い――②」



 閑静かんせいだった居住区はにわかに騒がしくなり、得物をたずさえた悪漢あっかん達がプレジア勢の現れた南通路に殺到する。



 格好かっこう餌食えじきだった。



「来やがった来やがった……無理すんなよてめーら。こっからは俺の後ろを付いてこい!」



 プレジア勢の戦闘に立ったファレンガス。



 その足元、石材の街路から茶色の閃電せんでんが立ちのぼり――街路を破壊して盛り上がった(・・・・・・)



『!!!?』



 破裂寸前の風船のようないびつな街路の膨張ぼうちょう

 それは一瞬のうちに悪漢達の足元にも及び――とっさに跳躍ちょうやくした一部の者を除き、蛇のようなうねりを伴うつぶて手榴弾しゅりゅうだんとなって爆発、悪漢らを一人残らず戦闘不能に追い込んでいく。



「うおー、やっぱ伊達じゃねえよなケネディ先生」

「普段ちゃらんぽらんなのにな」

「ボサッとすんなガキども! 避けた奴らはみんなそれなりにできやがるぞ、気ィ抜くな!」

「わかってますとも――行くぞヴィエルナッ!」

「うん!」



 大小様々な石造りの邸宅ていたくの上に、プレジア勢がおどり出る。

 


 ロハザーの眼前には既に切っ先が迫っていた。



「!!」

「ヌルい――――っ!?」



 長髪の細目が、手から刀を落とす(・・・)



 腕だけが空振った長身の剣士は直後、放たれた魔弾の砲手(バレット)を避け後退し着地――――に失敗する。



「!!? な、」

「どっちがだよ。テロリスト――――ッ!?」



 ロハザーの真横を風が抜ける。



 腕にくくり付け(・・・・・)られていたククリ刀が、引かれた腕に従いロハザーの腕を斬り裂く。



 はずが――裂けたのはアルクスのローブだけだった。



「ほう。いいモノを着てますね、ボンボンは」

「オメーもな。このローブを一発で抜きやがる武器エモノたァ」

「ええ。一度味わってみる価値、ありますよ――!」



 投擲とうてき

 真っ直ぐ放たれたククリ刀が持ち主が操るヒモの振動を受け、滅茶苦茶な剣筋を描きながらロハザーに襲いかかる。



(ローブでこのざまだ。たぶん障壁(しょうへき)も抜いてくるな)



 瞬転(ラピド)



 一瞬にしてククリの攻撃範囲から脱したロハザーは、



「そこですね」



 それを見切った男が放った針によってヒモのい目を貫かれ、地面に突き立った針を支点に高速回転を始めた刃によって二度目の斬撃を受けた。



「うッお!!」



 足を覆っていたローブを犠牲ぎせいに何とか回避。

 しかし地を転がり態勢を立て直した時には、



「ヌルいのは君でしたね」



 同じく瞬転(ラピド)で距離を詰め、回転しきったククリをつかみ振りかぶる長髪細めの男の一閃いっせんが――



 男は足から崩れ落ちた(・・・・・)



「っっ! っさっきからどうなって」

「どうだろな? まだ結論は出ねーぞ、テロリスト……!」



 しっかりと体勢を立て直し、不良のように地に足を着き座ったロハザーが、首に冷や汗をかきながら笑った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ