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「居住区の戦い――①」

 二人の悪漢あっかんが、珍妙ちんみょうな叫び声と共に吹き飛んできた。



「ッ!!? お、おい! んだよ、一体どうし――」

「待って。――目をそらされちゃダメ」

「あ? ――、」



 学園区から居住区へつながる通路の一つ。

 石造りの住宅に埋もれるようにして存在するせまい通路を警備していた悪漢は、二人が飛んできた先からゆらりと現れた黒髪の少女へ油断の無い眼光を飛ばす。

 それを以てしても、



「テメェ、そのローブ――ガッコの野郎だな!? ここは通さねぇ――」

「右の女、強そう」

「――ぁ?」

「構えて。来るわよ」



「用心して。ロハザー」

『引き付けありがとよ。ヴィエルナ!」

『!!』



 人間に、雷速らいそくの移動などとらえられようはずもない。



「ッ――」

「っな、うしろっ」

雷宴の台(タウロクス)

「ガ――――――――ッッッ!!!」



 かみなり属性ぞくせい中級魔法ちゅうきゅうまほうが悪漢の一人、軽薄そうな男を貫き感電させる。

 女は紙一重かみひとえ体をらして跳躍、障害物をって軽業師かるわざしの様に飛び――――その正面に追いついたヴィエルナと壁面で相対あいたいする。



「アラ線の細い子」

(ナイフ――)



 女が片手に構えた魔石の光るナイフの一閃いっせん

 体を背後にらしてかわしたヴィエルナはそのまま逆立ち、魔力で壁面に手を吸着させて体をひねり回転蹴り。

 女も横に体を逸らして躱し跳躍、一息で建物の上へと到達した。



「連絡飛ばしてー。敵襲――おや」



 女が展開した障壁しょうへき魔弾の砲手(バレット)連弾れんだんがぶつかり、大きくぜる。

 続くヴィエルナの追撃から大きく距離を取り、女はその屋上の中心へと体を落ち着けた。



「チッ、連絡されたか!」

「想定内。ドンパチした時点で気付かれる」

「それで? ボウヤたち二人……ってことはないわよねぇ」

「ああ。もう詰みだぜ(・・・・・・)

「は?ッ!?」



 がくん、と女の体が沈む(・・)



 足元には、石造りの建物に沈んだ彼女の足首と、



きたえられた足してんねぇ、カワイコちゃん。イカすぜ」



 石材をすり抜けるようにして現れる、二人の絶え間ない攻撃と魔波に隠れて接近していたファレンガス・ケネディ。



「……気を付けてねー。土精化どせいかできる奴がいるから――」



 女は笑い。



 下を見たことで無防備にさらした首根くびねを、床と平行に放たれたヴィエルナの蹴りに貫かれた。



「っと。……オシ、気絶した(寝てる)……入り口は片付いた。敵には気付かれたようだが、入れるぜ。居住区!』

『ご苦労様です。ケネディ先生。――さて、」



 曲がり角から、手勢を率いたアドリーが現れ。



「行きましょう。皆さん」

『はっ!』



 居住区の戦闘が、始まった。



「やっぱり来やがったぜ奴らっ!」

「南側の通路の方だよ! 続きなっ」

「得物(みじ)けェ奴が行けよ! あっちはめェぞ!」

「面倒ですね――人質は引っ張り出せないので?」

「ダメだっつったろイカれ野郎! なんべん言わせんだ!」

「残念」

「オウてめーらいけいけいけいけっ! 俺らの決意がハンパじゃねぇとこ見せてやれっ!」


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