「Interlude―20」
「推して知るべしですが、大体当たりでしょうね。そして、その嫡男であるナイセスト・ティアルバーは、父親の賛同を背景に、アホな風紀委員のメンバーを使って、学校に貴族至上主義を浸透させようとしているみたいですね。いい機会だったという訳です」
呆然となるマリスタ。
パールゥがよからぬことに気付き、顔を険しくさせる。
「あ……だから貴族の人たちって……マリスタに」
「そっか……四大貴族に対抗できるのは、同じ四大貴族だけ。そんなマリスタが『平民』とか、それに近しいアマセ君に友好的な態度をとっていると、それだけで」
「彼等、貴族至上主義派の目の上のたん瘤になる、というわけです」
「………………貴族の時代とかって、もう昔のものだと思ってた。私」
マリスタがそれだけ告げ、コトンと横を向いて机に突っ伏す。
「昔ですよ。昔の世界に執着しないと生きられない、世界の寄生虫のような連中の根が、このプレジア魔法魔術学校に集中している、というだけの話です」
「……転校とか。考えた方が、いいのかな。嫌だな」
暗い表情でパールゥ。黙り込むマリスタとナタリー。システィーナは否定も肯定もせず、ティーカップの揺らめきを見つめる。
パールゥの言葉が、ゆっくりとテーブルに浸透していく。
「……ケイに、言ってあげた方がいいよね。色々と、知らなさそうだし」
「そこでまた彼の話ですか。放っておきなさいあんなものは」
「ほっとけないよ! あいつ――」
マリスタがナタリーに反論しようと顔を上げた時。
渦中の人物が、彼女らのテーブルの前を横切った。
「ケ――ケイっ」
ナタリーの無言の制止も無視し、マリスタは努めて、明るく圭へと話しかける。
声を背で受け止めた圭は振り向きこそしたものの、いつか教室で見せた営業スマイルを浮かべ、そのまま立ち去ってしまった。
「え……あ、しまった通訳――」
通訳魔法を使っていなかったことを思い出したことも相まって、遠ざかっていく背中に、マリスタは声をかけられない。
ナタリーがため息を吐き、人混みに隠れていく背中を目を細めて見送った。
「ハァ~~~~ぁ。何ですあの嘘臭さ満載の顔。あの男、まだ化けの皮が剥がれてないとでも思ってるんですかね」
「まあ実際、私は図書室の騒ぎとマリスタの言葉がなかったら、気付かないままだったかも」
「び、びっくりしたよね。図書室で風紀の人たちとケンカしてる時の口調。まるで違う人だもん」




