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「Interlude―17」

「な、何をしたのかはあんま分かってないけど……毎度ありがとね、ナタリー。私、あんたに頼りっきりで申し訳ないわ」

「だから、いいんですってば。水臭いこと言わないでください」

「んーん。私の個人的な問題なのよ。自分の力でもっと、色んな理不尽や権力? とかを跳ねけられればいいのになーって、最近思うの」

「誰にでも得手不得手えてふえてはありますから。マリスタは、自分が得意な部分を伸ばしていけばいいんです。苦手な部分は友達や仲間に任せれば、」

「だって、それじゃ私はケイの役には立てないし……」

「ま、マリスタっ」

「……あ」



「ケイ」。

 その言葉を口にした瞬間、テーブルを覆う空気が別のものへと変化した。



 マリスタがゆっくりと顔を上げる。ナタリーの顔には、冷めきった笑顔が貼り付いていた。



「……またあの転校生の話ですか?」

「え、あいや、その。……ナタリー、怒ってる?」

「あや? 何を言ってるんですか、怒ってないですよぉ。いっやだー☆」

(怖い怖い……)

「あやや? 何か言いたげですねぇ、システィーナ?」

「いいえ、別になんでもないワ」

「な、ナタリー……お茶、お代わりとってこようか?」

「お構いなくですよ、パールゥ。……ハァ。マリスタ、あなたもりませんねぇ。あの得体の知れない男子に関わるのは止めた方がいいと、散々言ってるじゃありませんか」

「い、言ってるけど……私は関わるのをやめるわけにはいかないの」

「シャノリア先生から任されているから、でしょう?……言ったはずです、マリスタ。そんなものは、あなたが進路にも響きかねないペナルティを食らうような理由にはなりません」

「う……」



 おろおろと二人の間で視線をさ迷わせるパールゥ。すました顔でお茶を飲むシスティーナ。

 マリスタはきまりが悪そうに縮こまるだけだった。



「この間の風紀委員会への拘束こうそく、忘れたのですか? 学生の自治組織でしかないとはいえ、あれが続くようなら進路に響きます」

「あ、あんなこともう起こんないよぉ」

「でも、私が一番心配しているのはそんな些細ささいなことではありません。率直に言わせてもらいますけど、マリスタ。貴女は今、『イジメ』られているんですよ」

「い――――」

「いじめ!?」



 テーブルに身を乗り出すようにして驚くパールゥ。

 力なく目を見開いているマリスタを見て、システィーナは困った表情を浮かべてため息を吐いた。



「……やっぱり。そんなことなんじゃないかなぁって思ってた」

「思っていたなら、貴女もぜひマリスタに声をかけていって欲しいですね、システィーナ。いじめの傍観者ぼうかんしゃのことを何というかご存知ですかっ☆」

「笑顔が怖い笑顔が……でも確かに、その言葉には一理あるわよね。ごめんね、マリスタ。なんとなく察してはいたんだけど、声かけられなくって」

「い、いや別に……え? こ、これがいわゆる『イジメ』ってやつなの? 面と向かって何かを言われてるわけじゃないんだけど」

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