「3『人』寄れば」
「……その通りですね。わたしが間違っていました」
『……!』
――プレジア勢は少なからず驚いた。
〝クソッッ!!! クソッッッ!!!!! クソォッッッッ!!!!!!!〟
先に見た、怒りに任せた王女の姿。
先のプレジア大魔法祭での動きや、部下のアヤメの言動・ふるまいを見ても――第二王女は決して好感の持てる人物ではなかった。
その傍若無人と、眼前の少女の姿は――あまりにも、解離しすぎていて。
「話を進めましょう。アルクスの者から斥候が――」
「おいおい、天下の義勇軍アルクスよ。大人としてちゃんと前面に出てきて仕切らんか。こんな子どもに任せておらんで」
『!!!』
「がはは、そう目くじらを立てるな。話の効率を言いたいだけじゃワシは。それとも、この子以上に確実な話ができる者はいないというのか? プレジアの者達には」
「……いいでしょう。以後は私が、引き受けます」
『引き受けます』という言葉を強調しながら、ガイツがデーミウールに応じる。
ペトラが聞こえるように鼻からため息を吐いた。
ココウェルが口を開いたときとは打って変わり、グウェルエギア勢は誰一人ガイツに異論をはさまなかった。
小さく歯噛みするココウェルを視界に捉えたのはサイファスとシャノリアだけだ。
そしてそれまでの滞りが嘘のように、話は進む。
グウェルエギア勢は、大学府と学園両方の守りを全面的に請け負ってくれることとなり。
イミアやアティラス以下、動ける治安部隊の兵士はプレジア勢と行動を共にすることとなった。
「では肝心の王都奪還作戦の構築に入ります。事前に斥候と捕虜から情報を得ました。まずは敵戦力ですが――大半はろくな訓練も受けていないごろつき共。そしてそれを指揮取る少数の実力者とのことです」
「あッハァ、本当かしらそれ。信ぴょう性は?」
「王都全域を見てもらいました。まず間違いないと思ってもらって結構です」
「がはは、この短時間でか? 優秀なものだ……だが情報が曖昧過ぎんかな?敵の規模や素性、配置は判らんかったのか?」
「順に説明します。まず規模ですが――区域ごとに、それぞれ四、五十名ほどの部下を従えた指揮官が存在し、制圧区域を監視しているようです。それに加え、いくつかの遊撃隊あるいは遊撃個人が、王都内を任意に巡回している」
「……その中に、例の『褐色の大男』がいるとなると。厄介ですわね」
「そして素性に関しては……敵の感知を警戒し、記録石を使えなかったのでなんとも言えませんが……敵の首領。あのスーツ姿の小男についてだけは、確定情報を得ました」
『!』
「首領の名は奴自身の宣言通り、ノジオス・フェイルゼイン。奴の率いる大型ギルド『フェイルゼイン商会』が、クーデターの中枢を担っているようです」




