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最弱♀ミニゴブリンに転生、寿命30日から始まる神の箱庭~吸収能力と進化で最弱からの成り上がり~  作者: リーズン
ダンジョン&アリスベル修行編

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(便利な物も有るんだな~)

 ハクアとカーラは二人で食堂から移動し最初の応接室へと帰ってきた。そしてデミグスが紅茶を持ってきた所でカーラはハクアに先程の紙について質問を始めた。


「質問なのだけど、この紙は量産出来るのかしら?」


(量産が出来るのならこれは新規の事業になり得るわ。何せこの分野には殆どの人間が手を付けていないもの)


「ああ、それね。ぶっちゃけ私には無理」

「なっ!?」


 ハクアのその一言に場の空気が凍り、流石のカーラもそんな返事が返って来るとは思わず絶句する。


(いやいや、無理でしょ。個人で量産とか。ああ、でも、秘匿して売り場に噛ませるだけにすれば、利益丸儲けで危ない事しなくて済むかな?)


 〈それでも、グロス達は多分来ますよ?〉


(はっ! そうだった!)


「どう言う事か説明してくれるかしら? まさかこの段階まで来て、何も考えていないなんて事は無いわよね?」

「流石にそれは無いよ」

「それではどうやってこの紙を商売にまで持って行くのかしら?」

「私は何もその紙を自分で作るから売ってくれ。なんて言ってないよ。私が売りに来たのは概念だよ」

「概念?」

「そう、今この世界にある商売は殆どが自分で一から作り売るか、それを買い取り代わりに売る。もしくはそれを置かせて売り上げの一部を貰うかでしょ?」

「ええ、そうね。買い付けや自分では売り方の分からない者の代わりに売る。それが物販の基本ね」

「でも、私には作る技術はあっても手が足りない。仮に人員を貰ったとしても、私は冒険者だからこっちにかかりきりになる訳にはいかない。だから私が売るのは概念、つまりは製造技術を教える。そして、紙が少なかった今まででは必要が無く。今後この事業が上手くいけば必要になってくる物も製造技術やそれに伴う扱い方を教える。これはそういう商売の話だよ」


(これは……想像以上だわ!? 今まではどんな物でも自分で作った物を作れる分だけしか売れなかった。そこには独自の技術や方法があるから仕方無い事ではあるけど、この子はその技術自体を売る事でそれ以上を手にいれようとしてるのね。仮に私が技術を教わり金を渡さなければ彼女はそのまま他に技術を売る事で、私の市場の独占を防いだ上で相手に恩を売り稼ぐ事も出来る。私が裏切ろうが、裏切るまいが自分で抱え込むより結果的には稼げる訳ね)


 カーラはハクアの言葉からそこまでの事を推測し、ハクアの望みが法外なものでなければそのまま受け入れる方が得になると判断し会話を続ける。


「分かったわ。生産ラインはこちらで整えましょう。それでは、単刀直入にお聞きします。貴女その技術を幾らで私に売るつもり何ですか?」


(おう、本当にどストレートに聞かれたよ)


「そうだな……まず、今後発生する純利益の10%を私達の取分と言う事で」


「10%?」


(何を考えているの? 確かに個人に利益の10%なら多い位ではあるけど、もっと吹っ掛けても良いくらいよ? この事業の価値が分かっていない? いえ、それはないわ。なら、何が目的なの?)


「とはいえ、この製法にかかわらずそこから派生、発展していく技術も純利益に含んでね?」

「──っ!? 分かったわ」


(やられた)


 ハクアがカーラに言った事は、例えばハクアが教える技術をAの製法とした時、今後カーラが独自の改良を加え新しくBの製法で作った自社の製品でもハクアに利益が発生する事になる。

 ハクアは技術の基盤になる物を提供する訳だから、これからどんなに改良を加え新しい製品を作っても、ハクアに利益が生まれる仕組みだ。

 仮にこの言葉が無ければカーラは少なくとも二年後には、独自の改良を加え新商品として売りだし、ハクアの利益を奪うつもりでいた。それはハクアのたった一言に潰された形になった。


(この人本当に頭が良くてやり易い。根っからの商売人だな~。超楽しい)


 ハクアはこの手の交渉相手は大きく分けて二種類だと思っている。

 一つは人の話を鵜呑みにする人間。

 これに対しては一から十まで説明して納得させ、不都合な事はある程度ぼかし聞かれた部分にのみ正直に話せば事足りる。

 そして二つ目は人の話を疑い考える人間。つまりは今のカーラのような人物である。

 この手の人間にはあえて全てを語らず、自分自身で考えて貰う、そうする事で相手は深読みしこっちの想定以上の事まで考えてくれる事がある。そこまで行かなくても、ある程度の考え方、頭の回転の早さなどが分かる為、今回のように商売のパートナーとして見極めるにはもってこいの方法だった。


「他にも何かあるのかしら?」

「そうだね。後はまあちょっとしたお願いと今後も仲良くして欲しいな? って事位かな」


(ちょっとしたなんて言っても、それは個人によって感じ方が違うし、仲良くしてって言うのも《何と》明言しなければ今後もいろいろ言えるって事ね)


「はぁ、良いわ。今回は貴女を見誤った私の負けよ」

「そりゃどうも」

「それで? お願いっていうのは何かしら? あまりにも無茶な事は聞けないわよ?」

「そんな対した事じゃないよ。私達暫くこの都市に居るつもりだから、家を借りるか買おうと思ったんだよね? だから良い物件紹介して欲しいなって、もしくは良い仲介屋を教えて」


(昨日皆とも相談したけど、人数増えて来たし何より滞在するつもりだからその方が安そうなんだよね。何せキャットテイルって一日で一人銀貨一枚するからね! 流石に無駄ですよ!)


「その家に住むのは今ここに来ている子達で全員?」

「そうだけど?」

「そう、ならギルドの近くに少し大きめの屋敷が在るからそこを売ってあげる」

「マジか! って、金足りるかな?」

「タダで良いわ」

「はっ?」

「タダで良いわよ。本来なら貴女にはもっと吹っ掛けられてもこっちは文句なんて言えない位の商談だったもの。利益を上げる限りずっととはいえ、あの家位なら安い物だわ」

「本当に良いの?」

「良いわよ。その代わり、紙が貴女の予想以上に売れても文句は聞かないわよ」

「了解」

「後は何かあるのかしら? 無いなら契約書類を作るからそれまで待っていてくれる?」

「後一個、実はちょっと手にいれて欲しい物があるんだけど──」


 そう言って、ハクアはカーラへとある探し物を依頼した。

 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼

「これで契約完了よ」


 カーラは契約用の魔法が掛かった羊皮紙を仕舞いながら言う。この羊皮紙は書面に書いた契約内容にそぐわない行為をすると、最悪ギルドから指名手配される程の物で商人の契約書として必需品であった。


(便利な物もあるんだな~)


「でも、こんな方法と材料でこんな上等な紙が作れるなんて驚きだわ」


 カーラはハクアから聞いた製法を記した紙を見ながら改めて感想を口にする。


「じゃあ後は任せるね」

「ええ、任せて頂戴。利益は毎月10日にギルドに振り込めば良いのよね?」

「そう」


 ギルドには銀行のような仕組みがあり申請する事で、口座のようなものが作れギルドタグで引き出したり、入れたりする事が出来る。今回ハクアはそれを利用する事にした。


「生産ラインが出来上りしだい一度連絡するわ。後は、家の件についてはさっき言った所に行けばもう連絡が行ってるわ。もうひとつも見付けたら連絡入れるわね」

「うん。いろいろありがとう」

「それはこっちの台詞よ。お陰で良い商売と取り引き相手が出来たわ」

「光栄だね」

「それじゃあハクア。これからもよろしく」

「うん。まだ幾つかアイデアあるから今度教えるよ」

「ええ、それも楽しみにしているわ」


 こうしてハクアはカーラとの交渉を終え。目的の一つを達成したのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「良いわよ。その代わり、紙が貴女の予想以上に売れても文句は聞かないわよ」 予想以上に売れようが売れまいが、純利益の一割を貰うのだから、その言葉は不思議な言葉ですね。
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