やだ。この人達怖い
「【神性】とは神としての性質、権能、属性を表すものです。神であったとしても【神性】を失えば、それは只人と変わりません」
「逆に言えば、私や心さんみたいなただの人間でも【神性】を得れば、一応、神ってカテゴリには入るんだよ」
「へぇ〜、やっぱ人間ってそんな感じの扱いなんだ」
「人間だけではないがな。私や聡子は神としてはかなり弱い部類に入る」
「えっ!? 二人がですか!?」
心の台詞に瑠璃だけではなく、聞いていた全員が驚く。
これには私も素直にびっくりだ。
体感で言えば、素の戦闘力は最強クラスの二人。
そんな二人が神としては弱いと言われるのは、理由としてはわからなくもないがやはり驚く。
「あはは。私と心さんの権能は神としては弱いからね。テアさんや咲葉さんと比べたら、神としての格は最低辺になっちゃうんだよ」
「ん? ということは神の格って権能で決まるの?」
「ええ、大体そんな感じですね」
「とは言え、権能の強さ=神としての武勇って訳じゃないのよね」
やれやれと咲葉が首を振る。
なるほどやっぱりガチンコの強さ=格と言う訳ではないのか……となると、私の体感は間違ってないようだ。
「そうですね。格が高くても聡子や心の方が大半の神よりも強いですよ。ただ───」
「一定を超えるとね。個人の強さじゃどうにもならない相手も居るんだよ。そうなると身体能力特化の私や心さんじゃどうにもならないんだよね」
「なるほど」
確かに二人の権能が身体強化系だとすれば弱い部類の能力かもしれない。
身体強化は無難に強い代わりに、突出した力とは言いにくい。
「特に権能なんてものになると、天候操作や事象改変なんていう、世界や事象への介入が可能なものが多いからな」
「ですね〜。ハクちゃんが戦ったアジ・ダハーカみたいな権能と比べると、どうしても私や心さんみたいな権能は一段下って感じですもん」
さして気にした風でもなく、あっけらかんと言っている辺り、二人は神としての格自体はどうでも良いのだろう。
とは言え、やはり気にしていなくても、現実をも塗り替える力を持つ権能となると、警戒自体はしているようだ。
「ちなみに二人の権能って聞いてもいいの?」
私が質問すると二人は顔を見合せ笑う。
「もちろん良いよ。私は剣術の拡張って言えば良いのかな? 剣を用いた戦いに関してその効果を上げる事が出来るんだよ」
「先生! 分かりにくいです!」
手を挙げてはーいと文句を垂れるとソウもノリノリで乗っかってくる。
「う〜ん。そうだなぁ〜。私の本気の五段突きは前に見せたよね?」
「見せたと言うか食らわされたと言うよね?」
「うん。その時わかったと思うけど、私の突きは全部が同時に起こったでしょ? 五連撃じゃなくて五点同時攻撃」
「ああ、そうだったかも」
その時の事を思い出すと確かにそうだった。
連撃ではなく同時。
速いとかそんな次元を超えたそれは、確かに権能と言えるほどに凄まじい。
「後は身体能力の強化、刀に神力を纏わせれば、相手の神力に負けない限り、なんでも斬れるし、貫けるって所かな?」
「いや、それ、十分強力やん……」
単純明快。
それ故に対策も取りづらく、決定的な差が出来にくい。
確かにこれなら権能が弱いとか言う次元の話ではないだろう。
能力としてはアジ・ダハーカの死を見る能力や、軍勢を生み出す能力の方が強い。
だが相手がソウなら、死を見たところでその死すら切り伏せる姿が容易に想像出来る。
「う〜ん。でも私的にはそこまで強力って感じでもないんだよね〜。私はこの中でも特に神力が弱いし、心さんとなら面白い死合が出来そうだけど、咲葉さんやテアさんじゃ相手にならなそうだしね」
「いや、私も流石に聡子と1対1の勝負はしたくないぞ」
心がちょっと引き気味に言う姿は珍しい。
「私も剣技だけで神に登り詰めた相手に、簡単に勝てるとは思ってないわよ。と言うか、大した逸話なしでそのレベルまで行ってるのがハクア並におかしいし」
「なんでそこで私を巻き込んだの!?」
全く失敬な奴め。
「そうですかね〜。なんならやってみますか? 私も死合は好きですから」
しかしなんでソウが試合というと、死合と聞こえる気がするんだろうか? ハクアさんとっても不思議。
「テアさんでも良いですよ。まだ一度も本気でやり合った事はありませんし、私もテアさん相手にどこまでやれるか、ちょっと本気で試してみたいですしね〜」
顔は笑っているが目が全く笑っていない。
獲物を見付けた猛禽類のような瞳でテアを見詰める。
心なしか温度が数度下がったように感じるのは気のせいではないだろう。
「やめておきましょう。今の私はそこまで強くありませんからね。神力の差と言った所でそれは1発限りの話、聡子の五段突きは受け切れませんよ」
「え〜、試してみないと分かりませんよぉ」
提案をあっさり受け流すテアに食らいつくソウ。
しかしやはりテアは全く受ける気はなく、暖簾に腕押しといった雰囲気。
何故か嫌な予感が止まらないので、巻き込まれたくなくてその様子を黙って見ているとテアと目が合った。
やばい。
そう思った時には既に、私の体は地面から生えた影に縫い止められていた。
う、動けない。それに口も開かないんですけど!?
「落ち着きなさい聡子。私よりも面白い子はそこに居るでしょう? 今は白亜さんを育てた方が面白いと思いますよ。何せ、またおかしな方向に行ってますからね」
こいつ、元女神の癖に人の事売り飛ばしやがった!?
「う〜ん。それはそうですね。ごめんねハクちゃん、危うく浮気しちゃうところだったよ」
爛々とした目を私に向けるソウ。
ターゲットは無事私に移ったようだ。
この恨みはいつか晴らしてやる。
"その時を楽しみにしてますよ"
心の声に心の中で答えるのやめて。
「んじゃあ、心の権能はなんなん?」
無事、私に擦り付けた事で拘束が解かれたので、話題を変えるために気になっていた事を聞く。
「私は全ての武器の性能を極限まで引き出せる事、後は……自身の行いが正義であると信じている場合、私自身の力に毘沙門天の加護が追加される」
「……それってぶっちゃけ、神二つ分の力が乗っかるって事じゃね?」
「そうとも言うな」
軽く言ってるがこっちもやばい。
ただでさえ神の力は絶大だ。
それなのに心は限定的にではあるが、自分の力に毘沙門天の力を乗せる事が出来ると言う。
単純に考えても二倍。相性が悪い訳がないから、実際には更に上と考えても良いだろう。
そうなると、単体性能で言えばチート級なのではないだろうか?
チラリとテアと咲葉を見ると二人とも揃って頷いて見せる。
……こいつら。自分達が弱いとか言っときながら、事、武力においては神の中でもチート級にやばいじゃねえか。
咲葉だって戦うのは嫌だとか言ってるが、影の国の女王としての権能あるだろうし、ゲイボルグとかだって権能レベルの激ヤバ武器持ってるし。
やっぱこいつら全員やばいわぁ。
「ぶっちゃけ。タイマンで二人に勝てる神ってどんくらい居るの?」
「……それこそ数える程度ですよ」
「流石にそれは言い過ぎだろうテア」
「そうですよ。私なんてまだまだですし、斬ってみたい神なんてごまんと居ますから」
やだ。この人達怖い。
「ハァ……話がそれましたね。それでは【神性】についてもう少し詳しく話しましょう」
この話題は危ないと思った私は、いい子で授業を続けるのである。
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