ネタ言うなや!?
閃光そして爆発。
二つの段階を経て破壊を撒き散らした結着。
その結果───。
「ふむ。死んだか?」
「生きてるが!?」
頑張った人間に対するあまりにも無慈悲な一言にツッコミを入れつつ、瓦礫の中から這い出る。
「なんだ生きてたか」
「つまんなそうに言うのやめてね?」
なんでそんなちょっとガッカリした空気か!?
「ハーちゃん大丈夫ですか? 汚ない花火になっちゃったかと思いましたよ」
「それも心配してる人間に対する言葉じゃないんだよなぁ」
本当にこいつら失礼過ぎないだろうか?
「ふう。思ったよりもすごい事になってしまったわね」
服に付いた埃を手で払いながら、土埃の向こう側からやって来る咲葉。
やはりと言うべきかどこにも怪我をしていない。
……理不尽過ぎないだろうかこの存在。
人のゴブ生を全て乗せた一撃を以てしても、傷一つないとか理不尽極まりない───と、文句を言ったら今度こそ何をさせられるか分からないので、お口にチャックなんだよぉ〜。
「お疲れ様です白亜さん。それに咲葉も。どうでしたか?」
「思ったよりも楽しめたわ。まあ……この期に及んでまだ手の内隠そうとしてるおバカは居たけどね」
咲葉の言葉にビクリと震える。
いや……そんな、手の内隠すとか人聞き悪い。
「ちゃうねん。確証ない実験にはリスク高いねん。そもそもお前相手にする時点で、ある程度分かりきった事、以外はあんまりしたないねん」
だからそんな目で見るのやめよ?
「えっ? 白亜さん貴女、あれだけやっといてまだ手の内隠してたの?」
「だから千早もその言い方良くないよ。隠すとかじゃなくてリスクヘッジ……的な?」
「自分でもう疑問符なんですねハーちゃん」
「せめて言いきれよ。馬鹿」
その通りだけどこっちの身にもなってくれませんかねぇ!?
「それで? ハクアはどんな手の内隠してたの?」
「聞いてたミコト? その言い方良くな───」
「もうそれ変わらないからさっさと話し進めろ」
「……へい」
なぜ私の方が悪い感じなのか……解せぬ。
「まあ隠していたと言っても使ってはいましたからな。ハクア的にはその言われ方は納得出来ないんだろう?」
「流石、心。わかってくれる」
そうそう、私としてもそれが言いたかった。
「どういう意味だ?」
「簡単だよ。さっきテアさんが言った通り、ハクちゃんの傲慢はルールの改変にある。それはスキルや魔法の理を書き換える事が本質、さっきはそれを使ってアクティブスキルをパッシブ化したわけ」
「そうですね。例えば付与魔法、これは魔力や気による強化ではなく、魔法による外部補強に当たりますが、通常、重ねがけは不可能なんです」
「つまり……こいつは何重にも重ねがけする事も可能というわけか?」
「まあ、理論上はそうなるけど、それはあくまで理論値ね。普通は強化の方に体がついて行かなくなるわ。ちょうどこの子の体みたいにね」
ポンポンと頭を叩かれるままにする。
そうなんだよなぁ。
結局はそこに行き当たる。
重ねがけは可能だが、強化に身体がついて行かなければ結局、毒になり体は崩壊していく、それを回避する為にあれこれしたいのだが、戦闘中にとなると途端に難しくなる。
せめて試すならぶっつけ本番ではなく、その辺で適当に試してからやりたい。
だって私とて、自分の強化で手がパチュンとか何回も弾けたくないんだよ。
あれ、けっこう衝撃映像だから意外と私も来てるんだからね?
まあ、それをやらせたテアからしたら衝撃映像どころか笑撃映像かもしれんが。
「そんな事ありませんよ?」
「だから口に出してない、人の頭の中の声に反応するのやめよ?」
そうそう軽々しく人の頭の中を見ないで欲しい。
「まあ、それはそれとして楽しめたわ。はい、ハクア」
「おお〜!? やっと手に入れたぜ炊飯器。この為に私は頑張った!」
「……ああ、そう言えば炊飯器目当てでやってたんだったか」
「そうだが!? 忘れないで下さいます?」
「う〜ん。流石にあの試合の結果が炊飯器って言うのは、ハーちゃんらしいと言えばらしいんですけどね」
なんで皆、呆れてんの? 炊飯器ぞ? 文明の利器であるぞ?
「私もまさかゲイボルグを逸らされるとは思ってなかったから。充分な資格よ」
「そうだよ。それに文句言いたかったんだよ!? 何人に向かって軽々しくゲイボルグなんぞ繰り出してくれてんの? こっちは簡単に死ねちゃうゴブリンさんやぞ」
「もうそろそろ、そのネタ厳しくない? 鬼、龍、悪魔、天使、堕天使、神獣まであるのに」
「ネタ言うなや!?」
まあ、確かに最近、厳しくないとか天の声が聞こえる時もあったりするけど、私のソウルは未だにミニゴブリンさんから変わってないんでい!
「でも、本当にハクアはめちゃくちゃ変身が多いよね? 見ててもなにがどう凄いのか分かんなくなってきたもん」
ミコトの言葉に皆が頷く。
まあ、確かに多いのは認めるが、どれもこれも一長一短でもあるからなぁ。
どれか1個に絞った時点で私は死ぬ可能性がグンと跳ね上がる。
だからこそ、全ての力を使いこなすくらいでなければいけないのだ。
だってそもそも攻撃力上げる為に、防御力削りまくってるからなぁ。
殺られる前に殺る精神で行く為には、これくらい手札は必要不可欠、だって一つの手札で勝負して、それが効かなかったら死ぬしかないというのが私なのだから。
「まあまあ、その内慣れるさね」
「そもそもお前の行動が反映された結果だし、もう無理だろうな」
「なんだその言い草は!? 人間生きてれば角が生えたり羽が生えたり、種族がちょっとちょこちょこ変わるぐらいあらぁな!」
「ねえよ」
それはそう!
勢いで行けるかと思ったが流石に無理だった。反論の余地もねえ。
「さて、それじゃあそろそろ本題に入りましょうか」
「へ? 本題? ま、まだなにかあるのか!?」
思わず後ずさるが、体に力が上手く入らないから逃げられない。
しまった。図られた!? これを見越した最後の大技だったのか!?
「安心なさい。悪い事じゃないわ」
「ほ、本当に? 信じてもいい?」
「そうね。テアの10倍は信じても良いわよ」
「絶望しか感じない」
マイナスにかけるとマイナス大きくなるんだよ?
「どうやら白亜さんはとても厳しい修行がお好みのようですね?」
「ほら、こうなった!?」
「今のは自業自得でしょ。ハクアには私からスキルをあげるだけよ」
「……なんで?」
「今の試合は試練だったのよ。神からの試練に合格すれば褒美が貰える。これは少し前に経験したからわかるでしょ」
なるほど、鬼神や龍神、それにアジ・ダハーカと同じ感じか。
「ちょうど貴女に必要だと思っていたスキルだったんだけど、何もせず渡す事が出来なくてね」
「それでいきなり試合だったと?」
「ええ、そういう事よ」
「それ言ってくれても良くない?」
「……言ったって、貴女逃げるでしょうに。どうせスキルなんていらないから、そんな危なそうな事、したくないんだよ! とか言って」
「うぐ」
まったく否定出来ない。
「と、言う訳で、はい。ちゃっちゃと渡すわよ」
咲葉はそう言うと私の頭に手を当てて力を送り込む。
すると私の中でその力が形になっていくのがわかった。




