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ミニゴブちゃんゲットだぜ! 

スキル説明の回です

 そして産まれて二日目、私は膝から崩れ落ち泣きそうになっている。


 〈マスター、遊んでいるとせっかくの兎が逃げますよ?〉


 あっ、はい、すいません!


 私は今日も動物狩りに精を出す。産まれた次には体が成長して幼稚園児並になり、二日目にはもう普通に行動出来るようになった。


 治療したミニゴブリンは次の日から私と共に行動し始めた。


 母は同じらしく、狩りの成功率が高い私達の仕事は他のゴブリン達の食料調達に決まった。


 そんな事を思い出しながら兎を罠の方に追い込むと、物音が響き、私が仕掛けた落とし穴に兎が落ちた。


「ギギ、ギー」


 それを見て嬉しかったのかミニゴブリンが私に抱き付いて来た────のだが。


 正直、可愛くないのでちょっと怖い。


 〈流石に、それは可哀想なのでは?〉


 まだ二日目だから慣れないんだよ。


 私に抱き付いてきたミニゴブリン。名前はゴブゑと、言うらしい。


 しかしなんで旧平仮名? 普通に平仮名の「え」で良いじゃんよ。


『モンスターの名前はランダムですby女神』


 無視無視。この子、怪我をしてたから治療してあげたらなんか懐かれたんだよね。


「ギッ、ギー」


 喜んでいるのはなんとなく解るけど言葉が無いって不便だなぁ。


 〈基本ゴブリンの知能は低いので言葉は喋れません〉


 あれから二日、やはり動物狩りではレベルは上がらず。成果はヘルさんが仲間になった事とゴブゑに懐かれた事のみ。


 VS寿命などと思ってみても、私はまだ戦いのフィールドにすら、辿り着けずにいた。


 私、本当に生き残れるのか?


 なんて思っていたが、人間やろうと思えばどんな状況にも慣れるものである。


 今ゴブリンだけどな! 


 三日目にして動物を追いかけ回し捕まえるのにも慣れた頃、私はそんな事を考える。


 〈既に昨日の倍取れていますからね〉


 そう、昨日はたったの三匹しか取れなかったのに今はもう六匹目である。


 まあ、その理由はあそこで兎を前に喜んでいるゴブゑのお蔭でもあるけど。


「ギッ、ギー、ギッ」


 〈……昨日の狩りでは罠の意味が分かっていませんでしたからね〉


 そう、ゴブリンは知能が低い。


 そんなゴブリンでも成長すれば多少の罠や、自分達を討伐しに来た冒険者達を嵌めるくらいできる。


 でも、ゴブゑは産まれたばかりでそんな知能や、狩りに参加した経験も無いので、その辺りが全く分かっていなかった。


 〈たった一日で動きがかなり効率的になりました。正直、昨日は自分から罠に突っ込んでいくばかりなので驚きました〉


 確かに昨日は罠に嵌めるよりも嵌まる方が多かったのに。今日は見違える程動きが良くなっていた。


 私が見ている事に気が付いたのかゴブゑがまた抱き付き、嬉しそうに頭をグリグリと押し付けてくる。


 と、言うか本当になつかれたな。私。


 昨日から事ある毎に抱き付いてくる。


 まあ直視しなければ子犬みたいかな?


 〈あの、酷いこと言ってる自覚ありますかマスター?〉


 なんの事やら。


 ヘルさんとそんなやり取りをしながら、そろそろ次の獲物を追い込む為ゴブゑを引き離そうとすると、いきなり頭の中でヘルさん以外の声が響いた。


 ▶スキル熟練度が一定に達しました。スキル【魔物調教LV.1】を獲得しました。


 ……なんで? 何にもしてないのにスキルゲットしてるの? まあ嬉しいから良いのだが。


 〈どうやらこのスキルはモンスターと友好的に過ごす事で得られるようです。似たスキルで【魔物支配】がありますがそちらは、モンスターを倒さずに屈服させ続ける事で得られます〉


 どう違うの?


 〈前者がモンスターの意思を維持したまま共に戦ってくれる仲間なのに対し。後者はモンスターの意思を縛り、無理矢理命令し使役する事が出来ます〉


 ほうほう、つまりは前者が自由意思の代わりにどう動くのか分からなくて、後者は命令以外の行動が出来ないのか。一長一短ってところか。


 でも、なんでそんな事分かるのヘルさん?


 〈理解が早くて助かります。私にも【全種族言語理解】【スキル大全】と言うスキルがあります〉


 どうやら前者はそのままの意味で【スキル大全】は、獲得したスキルの効果と熟練度の上げ方が分かるらしい。


 ただし、獲得したスキル以外の熟練度の上げ方は分からず、どんなスキルが存在しているのかは分かるが、目覚めの奇跡の影響で私が取得したスキル以外の取得方法は分からないらしい。


 また、私が【鑑定士】のスキルで鑑定した相手のスキルについても、効果は分かるが取得方法は分からないとの事。


 ふむ、やっぱり色々制約があるみたい。


 これは一度自分のスキルについても検証した方が良さそうかな?


 〈そう思います〉


 早速自分のスキルについても調べる為、未だに抱き付いていたゴブゑに休憩しようという意味を込めて話しかける。


「グッ、ギギ?」


 私の言葉を聞いてゴブゑは頷き、休憩をするため離れたようだ。


 伝わったのは良いけど、相変わらず何故こんなので伝わるのか分からない。


 謎だ。


 〈そこはなんとなくのニュアンスで……〉


 それでいいのか異世界……まぁいいか。じゃあ早速スキルの検証をしよう。


 まずはやっぱりこの【喰吸LV.1】でしょ。


 と、言う訳でヘルさん宜しくお願いします。


 〈分かりました。【喰吸】は読んで字の如く、食した物の能力の一部を吸収する能力です〉


 食べた物の能力が高いと取得出来る量も増える。


 ただし注意点がニつ、一つは能力とは言ってもステータスには影響せず、どんなに食べても上がるのはスキルの熟練度だけ。


 ニつ目は食べて直ぐに効果が出る訳ではなく、食べた物を消化し終わった段階で能力を取得する。


 熟練度の上げ方は食べる事で、普通の食事でも上がるが、やはりモンスター等の方が上がるらしい。


 〈また、昨日のような木の実や果物では基本上がりません。それと、どんな物でも一定以上の美味しさで食べられるようです〉


 食べたら直ぐに強くなるんじゃないの!? しかもステータスには影響無いって、私のこの貧ステじゃどんなスキルがあっても生き残れる気がしないんですけど!?


 もしかして、私のステじゃほぼ無意味のごみスキルになってないか? しかも一番最後の地味な効果が一番活躍してるっぽい!?


 〈かもしれません〉


 ヘルさんの無情な一言に私はまたも膝から崩れ落ちる。


 なんてこった。


 〈元気を出して下さい。私もマスターと一蓮托生です。マスターが死ぬ時が私の死ぬ時ですので〉


 あっ、はい。頑張らせて頂きます。


 私はヘルさんからの励ましの言葉と、微妙なプレッシャーを感じながら続きを促す。


 次の【鑑定士】これは私が思っている通りの物。


 レベルが高くなれば相手のステータスやスキル、称号等が見え、生物以外に使えばそれがどういった物なのかが分かる。


 〈こちらもレベルが高くなれば、より詳しく分かります。熟練度は色々な物を鑑定すれば上がります〉


 これは概ね予想通りか。まあ、これで予想と全く違ったら駄女神にキレるけど、これ使えば自分のHPとかMPって常に見えないかな?


 〈出来ますよ。これでどうでしょう〉


 視界の左上にHPとMPが!? なんかゲームみたい。でも、私今スキル使ってないよね?


 〈はい、マスターの知識から一番馴染み深い形で表示しました。スキルの方も使い魔とは言え、私はマスターと一心同体なので私の方で操作出来るようです〉


 おお、便利。


 〈戦闘になった時、相手のステータスが読み取れるようなら、私の方でゲームのように相手の頭上にHPとMPを表示させます〉


 ヘルさんがスゲー。


 流石声の感じがクールビューティーな出来る女系。


 〈意味は分かりませんがありがとうございます。続いては先ほど取得した【魔物調教】ですが。これにはまず、魔物をテイムする必要があります〉


 やり方は対象となる魔物にスキルを使い、相手のモンスターが私を認めれば完了。


 通常はスキル使用後に弱らせなければいけないが、稀にモンスターの方から服従を望む者もいるんだとか。


 〈ゴブゑなどは恐らく弱らせなくてもテイム出来るでしょう。当然ですが、相手が自分よりも格上の場合はスキルを弾かれ、逆に襲い掛かってくるので気を付けて下さい〉


 そっか、じゃあ後で試してみよう。と、いうより弾かれた場合が恐すぎるのだが。


 〈それが良いでしょう。マスターの現状を考えれば仲間は多いに越した事はありませんし。さらにテイムしたモンスターは、マスターに分かりやすく言うとエディットする事が出来ます〉


 なんかテンション上がるワードが出たね。何が出来るの?


 〈出来る事はモンスターのステータス管理と進化管理です〉


 前者は配下にしたモンスターの未習得スキルの熟練度を含む全ステータスを閲覧する事が出来る。


 ただし習得するまでは、どんな行動が熟練度習得になるかは分からず、その代わりその熟練度を上げるように命じておけば、自力で熟練度を上げるようになる。


 後者は進化時に複数の進化先、又はレベルがMAXになる前に進化可能な時、進化をさせるかどうかを選択できるらしい。


 ふむ、思ったよりも自由度高いかも? 


 でも現状一番使えるのが取得スキルよりも習得スキルな件について。


 まあ使えるのがあるだけ良いけどさ。今の所この三つだけだよね?


 〈いえ、後ニつ【魔法の片鱗】と【魔法のコツ】があります〉


 なにそれ私、知らないんだけど、アナウンス聴き逃した?


 〈マスターが最初から持っていたスキルです〉


 いや、私スキルニつしか取らなかった筈だけど?


 〈……正確に言えば、マスターの母に当たるエルフから受け継いでます〉


 オウ、マザー……この世界のゴブリンの特性からいってあまり考えないようにしてたけどここで来たか。聞くの怖いけどちなみに今ってどうなってるの?


 〈今日の朝マスターが狩りに出る前に亡くなったようです〉


 後味悪い。どうしようもなかったとは言えやっぱり少し堪えるな。


 〈気に病む必要は無いかと。先ほどマスターが言った通り、どうしようもありませんでした。これ以上地獄が続くよりも良かったとも言えます。この世界ではよくある不幸の一つです〉


 確かにそうかも知れない。それに私はまだ誰かを気にしていられる余裕が無いんだから切り替えないとな。


 〈それが良いでしょう〉


 ちなみに先程のスキル【魔法の片鱗】は、全ての魔法熟練度の取得にレベル×2の補正が付きます。


【魔法のコツ】は、魔法を使う際MPの消費にレベル×1%の補正、効力にレベル×2%の補正が付く。


 熟練度の上げ方は魔法を使う事なので今は上げられないらしい。チクショウ。


 わりと役に立つスキルだけど、魔法を何も持ってない今の段階だとやっぱりごみスキル……。


 〈今後を考えればあっても損はありません〉


 ……ヘルさんの慰めが心に染みる。


 そんなバカな事を考えているとゴブゑが近づいてきた。


 そうだ、今のうちに試してみるかな。私は【魔物調教】のスキルを心の中で念じる。


 ▶【魔物調教】をミニゴブリンに使用しました。


 ▶ミニゴブリンのゴブゑが貴方をマスターと認めました。


 スキル成功です。


「ギッ、ギギ、ギー」


 な、何か、予想外に喜んでる。まあ、とりあえずミニゴブちゃんゲットだぜ!


 〈なんですかそれは?〉


 素で聞かれると照れるけど強いて言うなら様式美───いや、聞かなくていいです。


 というわけでゴブゑのステータスでも見てみるかな?


  名前:ゴブゑ

 レベル:2

  性別:女

  年齢:4日

  種族:ミニゴブリン

  HP:60

  MP:80

  物攻:2

  物防:1

  魔攻:10

  魔防:10

  速度:5

  知恵:50

  器用:30

  運:10

  武器:無し

  魔法:風魔法LV.1(新)

  称号:眷属

 スキル:【風魔法LV.1(新)】


 ……おやっ? ゴブゑさんもしかして私より強い?


 〈えぇ、魔法さえ使えれば確実に強いです〉


 嘘!? 魔法さえ使えればってどういう事? って、いうかレベルなんで上がってるの!?


 〈ミニゴブリンは魔法を覚えていても使えません。進化してメイジかシャーマン系になれば使えます〉


 どうやらゴブゑの魔法力の高さは、親の特性がステータスに出て、私はスキルに出たようだ。


 〈レベルが上がったのは、マスターが動物の止めをゴブゑにさせていたので少ない経験値とは言え入ったのでしょう〉


 私の価値のストップ安が止まらない。動物でも経験値入るなら自分でやれば良かった。


 〈モンスターに比べれば微々たるものなので、譲っているのかと思いました〉


 そんな余裕無かったよ!?


 それを知った私は動物狩りに精を出し、帰るまでにレベルを一つなんとか上げた。


 ゴブ子寿命まで後27日。

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